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コラム&レビュー

新車心象風景:ダイハツ・ムーヴ

 
 高品質がウケている新しいムーヴ。とくにインテリアはリッターカークラスに追いついたと絶賛の嵐。


 僕もよくなったなあとは思うけど、絶賛はしない。だって、軽を越えたと言っても、たとえばヴィッツやスイフトを凌いでいるという程じゃないから。

 けど、いまや価格は完全にオーバーラップしていて、一部のターボ車なんか上回っていたりする。だったら同じレベルなのが当たり前なのであって、つまり、これまでメーカーが「軽」という枠に甘えて一方的に手を抜いてきただけの話なんである。


 
 あと、ダイハツにはエッセという、ある意味ムーヴとは逆の質感を求めたクルマがあるでしょ。僕は中途半端な高級感を目指すくらいなら、シンプルでも貧乏くさくないエッセの方向が普通の軽には合っているんじゃないかと思う。だいたい、同じメーカーがわずかな価格差で全く違う方向性のクルマを作るなんて節操ないし。

 軽で「高級」をやりたいのなら、本物の高級車を作ればいいんじゃないか。高質な素材をふんだんに使って、もう麻布ヒルズあたりのミセスがセカンドカーに買っちゃいそうな、たとえばランチア・イプシロンみたいなクルマ。で、200万円でも250万円ででも値札を付ければいい。そういう新しい軽の可能性を示すのならエッセと並存したっておかしくないでしょ。

 そうじゃなくて、何となくリッターカーに追いつきました、なんてレベルで大きな顔しないでよと言いたい。同じお金払ってるんだしさ。

(06/11/05 すぎもとたかよし)

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