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コラム&レビュー

クルマのまわりで:モーターショー、日本車イッキ評(その1)

 
 年明け以降ポンポンと続いたモーターショー。出品車のデザインについて雑感を、と思っていたらすっかり遅くなってしまった。例によって、写真を見てのものだけど。

 まず、今回はジュネーヴショー。

 トヨタの「GR Supra Racing Concept」は、雑誌のスクープ記事で、BMWのZ4とのあまりの違いに「まさかね」などと思っていたところだけに、ちょっと驚きだ。


 無理矢理なフォーミュラ顔に、リアに向けてグニャリと盛り上がるサイドラインの気持ち悪さは、レーシングパーツをまとっても隠せなかった。何ともテーマが見えにくいスタイルは、鳴り物入りで登場したハチロクの残念さを再びといった感じだ。それにしても、何でトヨタはスポーツカーの開発や生産を他社に任せるんだろう?

 「オーリス」は、これはもういまのトヨタのデザイン体制は本当にダメなんだな、という確信を持たせるスタイル。「顔ばっかり凝る」キーンルックは、異様に引き延ばしたランプと、上から下から交差する鬱陶しいグリルがいつものとおりで、これ以外に引き出しはないのかと。


 一方でキャビンには何の特徴もなく、思い付きのようなキャラクターラインもまたボンヤリ。ツートンのカラーリングも、ボディの退屈さをごまかすための後追い処理としか思えないんである。

 人気の小型SUVに送り込む「レクサスUX」は、なかなかに理解が難しい。LSなど、巨大なスピンドルグリルとボディの組み合わせ方がようやく見えて来たかと思えた昨今。その後の加速を期待したものの、このUXにそういう進化は感じられない。



 
  極めて常識的なシルエットのボディに、妙な線や面を盛り込むだけの繰り返しで、たとえばドアミラー下から前にのびるラインと、リアクオーターからダラリと引かれるラインの関係がサッパリ見えないものその例だ。ひし形をこねくり回したかのようなフロントランプは相変わらずのディテール重視だけど、そんなんでいいのかなあ?

 シリーズものとされる日産の「IMx KURO」は、たしかに一連の流れを感じる佇まいや細部を持っているし、自慢のVモーションをはじめ、面の磨き込みにも進化を感じる。さらに、前後ランプやピラーには、現在の同社のデザインモチーフが織り込まれているのも見て取れる。


 これもシリーズものの、スバル「VIZIV TOURER CONCEPT」。スバルのコンセプトカー、とりわけワゴンタイプはずっと以前から魅力的なものが多く、国内メーカーの中でも群を抜いていた。その点、このツアラーコンセプトもその流れにはあると思うけれど、例の「DAINAMIC×SOLID」が邪魔をしている。


 そんなお題目を唱えなくても、スバルのコンセプトカーはダイナミックかつソリッドだったわけで、余計な力が入っている分、たとえばフロントの猛烈な煩雑さや、過度にウネったサイド面などの弊害が出てしまった。ここはもっと素直に取り組めばなあ、と思うんである。

 では、次回はデトロイトショーについて。

(18/04/15 すぎもとたかよし)

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