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コラム&レビュー

新車心象風景:ダイハツ・ミライース

 
 ミラ イースって何だっけ?という話なんである。

 そもそもは、2009年の東京ショーに出品されたコンセプトカーの「e:S」が、なぜかその原形を留めないカタチでデビューしたあたりからズレが始まった気がする。

 乾いた雑巾を絞るような効率化と簡素化を推し進めるコンセプトながら、意外なほどオーソドックスなスタイルで登場した初代は、たしかに安くて燃費がいいけれど、サイズを含め特別感がまったくない不思議なクルマになったんである。

 で、新型は基本、その初代のブラッシュアップ版だ。妙に評判のいいスタイルは、なるほどエッジを利かせたシャープなものだけど、基本形は初代そのもの。パネルの質感云々よりも、まずなぜこのカタチなのか、なぜこのサイズが疑問だ。



 さらに、あまりに簡素過ぎるという先代ユーザーの声に応え、コストぎりぎりで頑張ったインテリアが逆に「貧相な豪華さ」を招き、あれ、ミラ イースってこういうのだっけ?の思いを加速させいる。


 
 一方、変わらなかった燃費値については、不毛な燃費競争から下りた、実を取ったなどこれまた絶賛状況だけど、そういう諸々を勘案すれば「だったらミラでいいんじゃないの?」と思えてくるんである。

 もちろん、そうなればダイハツ自慢のイーステクノロジーって何だっけ? 第3のエコカーって? ともなるわけで、初代からのズレがここでますます広がっていく感じだ。

 あちこち欠点・弱点潰しをやっているうちに、そもそもの商品テーマがぼんやりするのはよくある話。しかも、ミラ イースは初代からぼんやりしていたから尚更なんである。

 発表会では、いかにエンジニアが工夫を重ね、デザイナーはいかに細部にまでこだわったのかが語られていた。それは本当なんだろうけど、しかし、そういうことじゃないことに、もうそろそろ気付くべきなんじゃないかと思うんである。

(17/07/17 すぎもとたかよし)


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