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コラム&レビュー

新車心象風景:スズキ・スイフト

 
 何でこうなっちゃったんだろう、と思う。


 雑誌でスクープイラストを見て、いやまさかこういうことにはならないだろうと思いつつ、しかし最近のスクープ画像の正確さにイヤな予感はしていたんである。

 だから実車を発表会で目にしたときは、軽いため息が出てしまった。

 3代目をデザインするにあたっては、やっぱり営業サイドからの「次は変えてほしい」という要望が大きかったらしい。初代の成功によってほぼカタチを変えなかった2代目は、末期になってそろそろ息切れ状態となったのは当然とも言える。

 僕自身は、前2世代のカタチを変えても変えなくてもどっちでもいいと思っていた。当然、変えること自体が問題じゃないからだ。変えても変えなくても、要はその内容の問題で、そこに明快な意図と主張があるか否かが肝要だと。

 で、3代目のスタイルは、つまりその明快な意図と主張が足りなかった。

 たとえば、逆台形から緩い6角形にメージを変えたフロントグリルは、それ自体が初期スケッチからキースタイルとして一貫していたものじゃなく、開発途中に候補案から「これがいいかも」とピックアップされたものらしい。だから、このボディにはこのグリルが必須だという造形上の理由が見えて来ない。

 張り出した前後フェンダーも、これがボディ全体の造形を反映しているわけじゃなく「ちょっと情緒的な味付けにしよう」という感じだ。実際、どのくらい張り出させて、そこにどんなラインを引くかは、モデルを作りながら試行錯誤されたもので、当初から明らかなイメージがあったわけじゃない。


 
 逆に、前2世代のイメージそのままのキャビンは、これが必須だったということじゃなく、スズキの基幹車種として従来の雰囲気も残したいという要望から残ったらしい。だから、新たに曲面で構成したボディとのマッチングがよろしくなく、角度によっては柔らかいボディに硬いキャビンがめり込んでいるように見える。

 赤や青はともかく、イグニスから流用した中間色のゴールドやネオンブルーでは、ボディがドヨンとして何ともつかみどころがない。それは、ロジカルであれ情緒的であれ、ボディに自身を貫く「芯」のようなものがない証拠だと僕は思う。

 前2世代の、ロジカルで整合性を強く感じるデザインをやめようというのであれば、それはそれでいいと思う。欧州戦略車として、たとえばルノーのように情感を前面に出し、体温を感じるような造形でまとめるのもアリだ。繰り返すけど、肝心なのはその意図をどう造形に落とすかが明快であるか否かなんである。

 けれども、新しいスイフトにはそれが決定的に欠けている。好評だった前型までのイメージを残しつつ、何となくボディを緩くしてしまったり、何となくフローティングルーフだのピラー内ドアハンドルなんて流行ものに手を出してしまったに過ぎない。そこに主義・主張は見えないし感じられない。

 イグニスもあればバレーノもある。そのバラエティーの豊かさがスズキの魅力と言えば聞こえはいいけれど、せっかく獲得した大きな財産を、大した理由もなくひっくり返してしまうのは、実にもったいないことだと僕は思う。

(17/02/24 すぎもとたかよし)


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