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コラム&レビュー

新車心象風景:ダイハツ・ムーヴキャンバス

 
 何かこう、チグハグな感じがするんである。


 ムーヴ・キャンバスの販売は、なかなか好調みたいだ。新車の立ち上がりはたいてい販売目標を上回るものだけど、発売1ヵ月で2万台はかなりいい数字だろう。

 好評の理由はいろいろだろうけど、VW・タイプ2にも似たシンプルでプレーンなバス・スタイルと、それを上手く演出する2トーンのボディカラーが好印象なんだろうと想像できる。

 で、ここで思うのは、マーケティングとターゲティングの話なんである。

 キャンバスの発表会でたまげたのは、何と「実家で親と同居する若い女性」というターゲット。仲のいい母娘で、平日は母親が買い物に、週末は娘がドライブに出掛ける想定なんだそう。

 自動車先進国で、こんなバカげた想定でクルマを作っている国はあまりないんじゃないか? 商品企画にあたってはマーケティングが必要だ、でもってターゲットを絞り込まなくちゃいけない。そんなセオリーに実直に邁進するうち、どんどん混迷して行った感じだ。

 けれども、できたクルマは決して悪くないから、そこに大きなかい離を感じるわけだ。そもそも、実家にいる娘がどうしてバスになるのかが不明だし、お母さんの買い物と2トーンボディも結びつかない。妙チクリンなマーケティングと実際の商品に接点が見えてこない。


 
 同じダイハツから今年春に発表されたブーンは、逆の意味で似たような話になっている。こっちは、コンパクトカーの復権を掲げ「軽自動車で培ったノウハウを注ぎ込む」と骨太なコンセプトだった。なんだけど、できたクルマがあのような体たらくで、やっぱり結びつかないと。

 これは日産の話だけど、あのパイクカーシリーズのラシーンの開発はなかなか混迷を極めたそうで、その過程は書籍にもなっている。とにかくコンセプト出しが難航、何度試作してもピンと来ない。ところがすべてを仕切直した直後、まったく新しいスケッチが出てきてあっけなく決まった。

 それがあの低いワゴンボディなんだけど、だったら最初からそのデザイナーにスケッチを描いてもらえばよかったと思うわけだ。何かこう、コンセプト出しに振り回され、クルマ作りの根本を忘れてしまった感じ。

 キャンバスも「仲のいい母娘」なんて話はどうでもよくて、ぼんやりしたミラココアに代わる、息の長い魅力的なワゴンボディを作る、ということでよかったんじゃないか。同じく、ブーンは「軽自動車云々」は置いといて、とにかく美しく魅力的なコンパクトハッチを作るんだと集中すれば、あんなことにはならなかったんじゃ?

 「出来のいいクルマが売れるとは限らない」のは、まあなくはない話だ。けれども、自動車メーカーとしては、第一にそれを信じて開発を続けるしかないと僕は思う。少なくとも、その思いよりマーケティングが優先されるようじゃダメだと思うんである。

(16/11/21 すぎもとたかよし)


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