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いいこと書いているのに惜しいな、と思うんである。
いま売りの『ドライバー』誌の特集、「日本車×輸入車・買うべきランキング」。カテゴリー別に、注目の日本車と輸入車の比較しようという記事。
で、中身を読んでみれば何のことはない、マイナーチェンジしたアクセラや、プレビュー済みの新型インプレッサあたりを組み込むための企画っぽいな、と。
だから、タイトルのような内外ガッツリ比較記事はほとんど見当たらず、カテゴリー内の数車がそれぞれ個別にチャート評価されていて、肩すかしというか、何とも物足りない感じだ。
ただ、それぞれのカテゴリーのまとめ部分には、若干だけど”ちゃんとした”表現も見られるんである。
たとえばBセグメント。VWポロやアウディA1、プジョー208やルノー・ルーテシアのクオリティ、あるいは意欲的なパワーユニットの前に「国産車は大丈夫か?」と指摘している。
Dセグメントでは、押され気味の国産勢に「走りだけでなく、騒音、振動のレベルが未熟」と苦言する。レクサスなど、いまや結構な価格となった日本車では、単に「コストの差」とも言えないだろうと。
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もちろん、同時に国産勢の優位性もしっかり挙げられているんだけど、どちらにしても、こういう肝心なところを「まとめ」の中でサラッと触れるだけではあまりにもったいない。
ポロやA1に比べて、ヴィッツやノートのクオリティやパワーユニットに魅力が足りないのであれば、価格差の内容を含めた考え方の違いを掘り起こし、本来あるべき国産車像を具体的に語るような比較記事を組むべきだろう。
逆に、Cセグメントでは、異論があろうとも総合力でプリウスがいちばんだと判断するなら、それはライバルが持つ各々の魅力をどう凌いでいるのかをしっかり書くべき。
いや、「そうするべき」と言うよりも、そうした方が結局は面白い記事になるということだ。ガッツリ対決のような導入なのに個別評価という分かりにくさの解消はもちろん、読者の満足度を得るトータルでの面白さへもつながると。
まあ、この企画が100%提灯記事だったらそれはそれで仕方ないのだけど、一部とはいえ良心的な表現があるだけに惜しかった。
細かい話だけど、その辺の小さな踏ん切り具合が、実はいい雑誌への入口だったりすると思うんである。
(16/08/29 すぎもとたかよし)
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