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マツダの新しいディーラーに行って来ました。
店舗は関東マツダの目黒碑文谷店。もうすでに各媒体で紹介されていますが、マツダが新世代商品に合わせ、今後のブランディング構築を意図して設計したという基幹店です。
といっても、広大な敷地に・・・ということではなく、注意してないと前を通り過ぎてしまうくらいで、それより中身で勝負といったところでしょうか。建物全体は外壁や構造体がブラック、内装面が濃いブラウンでまとめられていて、まあ実にシックな空間です。
クルマを止めて1Fエントランスから入るとロビーになっていて、車両展示は2Fに。
アテンザ、デミオ、ロードスター、CX-3の展示4台はすべてソウル・レッドで統一されていて、言ってみれば車両もインテリアの一部という考え方のよう。細かいことを言えば、壁面に置かれたラックのカタログも黒地にソウルレッドの車体写真ですから、そこまで色彩コーディネイトされているかのようです。
案内の方の話では、今後別のカラーの車両が展示されることも想定しているそう。そうやって考えると、新世代商品群に用意されたブルーマイカやローズマイカなど、無彩色以外のボディカラーも、この黒と濃茶の空間ではそれなりに栄えそうではありますね。
自慢の商談コーナーはガラス壁の個室で、これまたお洒落。ただし、変に密室感が出ないよう、天井部の壁面は開放されています。間接照明が美しいトイレや、飲み物を提供するカウンターの陰になって目立たない子供用スペースなど、あまり広くないながらもこだわりと工夫が散りばめられていました。
工場は地下にありますが、ここも実に整然とレイアウトされていて、作業のストレス低減を果たしているほか、修理や点検を依頼したユーザーの安心・信頼感を得るのにも役立っているようですね。
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ハイライトはこだわりの納車スペースでしょうか。魂動デザインのモチーフを飾った部屋はやはり黒と濃茶で統一されていますが、調度品も含めて力の入り方が一層強いようです。
この店舗は前田本部長をはじめとしたマツダのデザイン部と、地元広島に拠点をおく設計事務所とのコラボだそうですね。設計者の谷尻誠氏の仕事は住居から商業施設まで幅広く、若手らしい新しい空間提案でありながら、全体的には落ち着いた雰囲気を醸し出す仕事が多いようです。どうやら前田氏自ら打診したそうですが、コラボとしては成功したのではないかと思います。
そうやって特徴のある店舗ですから、クルマのデザイン同様好き嫌いはあるかと思います。敷居が高いなんて感想もあるようですし。ただ、クルマにしても店舗にしても、メーカー側が高い志を提示するのは賛成です。仮に現代ニッポンがヤンキーとカワイイの国であったとしても、送り手がそこに並ぶ必要はありませんし。
また、高質な店舗という点では、レクサスの高級志向とはまた違ったアプローチであることも面白いですね。どこにクオリティを見出すかの違いが興味深い。まあ、これまでのマツダのディーラーがあまりにお粗末だったのは別として。
そういえば、日産は早くから店舗設計の改革に乗り出しましたけど、日本軽視のラインナップ同様、いつの間にかコンセプトがうやむやになってしまいましたね。一時は折込チラシのレイアウトまでデザインの徹底を図っていましたが、もしかして現場とのコミュニケーションに問題があったのでしょうか?
(15/08/29 すぎもとたかよし)
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