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やっぱりそうだよねえ、という感じだ。
いま売りの『ベストカー』誌での、水野和敏氏によるスポーツタイプ軽自動車2車の評論。ホンダのS660がズバっとやられている。
たとえばエンジン。かつてのホンダだったら、ボディは軽規格であっても、パフォーマンスは軽にとらわれず、100馬力は欲しいので800ccにしました、くらいのことはやっただろうとまず指摘する。
そもそも、スポーツカーという趣味の乗り物は「無駄」そのものであって、そこに意義や美学がある。けれども、2シーターでミドシップ、荷物もおけないというスポーツカーを作っておいて、なぜ税金だの燃費だの、あるいは保険料なんかを意識するのかと。
ルーフも、たとえば雨が降り出してきたときなど、実際のユーザーの使い勝手を考えれば、手や服が汚れてしまうような脱着構造にするのはあり得ない。ユーザーにそういうことを強いるようなことはあってはならない、とか。
そして、えらく高いサイドシルで、体をよじらなければ座れないなんて構造もまた設計者側の押しつけであるなんて話も出てくる。
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S660についてはここでも「モヤモヤ感」を書いたけれど、まあ普通に考えればそう思うよなあと。このクルマはビート後継ではなく本格的なスポーツカーを目指したんだ、と主張すればするほど、じゃあ何で非力な軽なの?となるでしょう。
いや、ベストカーもよくこんな記事を載せたなあ、なんて思うんだけど、まあ足周りは評価していたり、もう1台のアルトRSが絶賛なので、プラスマイナスゼロってことかな、なんて思ったりする。
この前書いたピーターライオン氏のページじゃないけれど、相応のクルマ好き、専門家であれば、1台のクルマに感じることにそう大きな違いはないだろう。それを特段強調することも抑えることもなく、淡々と語る評論は実に清々しいもんである。
これは絶賛のアルトも同じで、なぜ評価できるのかも、妙に舞い上がることなく整然と語っている。たとえばストラットタワーバーも、単に付いていればいいということじゃないとかね。
もちろん、これはS660が個人的に好きか嫌いかというのとは別の次元の話だ。弾丸のようなスタイルをして、フェラーリやランボルギーニの凝縮版と盛り上がるのは勝手で、長いウエイティングリストはその結果だろうし。
まだまだ、そこを混同した話がプロの評論家の口からも出てしまうところが問題、ということなんである。
(15/05/13 すぎもとたかよし)
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