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いろいろな意味で、これからに期待するクルマなのかな、と思う。
これを「インプレッサのワゴンでしょ」と言ってしまえば話はそこで終わりなんだけれど、そういう単純な正体をいかにうまく包装するかが商売というのもまた事実だ。
大きくなりすぎたレガシィに代わって、日本市場に合わせたワゴンを用意しましたというストーリーは、だからアイサイトで活気づいた新規層には取りあえず通用するだろうと。「25年目のフルモデルチェンジ」というコピーはどうにもピンと来ないけれど、これもまた「なるほどネ」という層はきっとある。
日本専用などと言いつつ、1780ミリもある横幅はどうなんだなんて話も、評判のよかった4代目と同じですという説明が用意されているようだ。何だかんだで、実際は欧州市場あたりを横目で見ながらの開発なんでしょ、とクルマ好きに見抜かれていたとしても。
コの字型に張り出したアクセントを持つホークアイとヘキサゴングリルの組み合わせは、最先端スバルのアイコンとして不足はない。レガシィならリアに抜けてもいいだろうウインドウグラフィックも、たとえばデザイン部長が現行レガシィ同様ここはボディ色だと言えば、まあそれは最新のスバルスタイルと考えられるし。
いわゆるダウンサイジングとは違うと思うけれど、なぜかそういうふれ込みで紹介される1.6リッターエンジンも、これが最新の高効率エンジンだと言えば納得だ。
歴代の買い換え需要の支えに加え、そうした新規層も積み重なってか、初期受注はそれなりに好調とのことだけれど、それは想定したほどでもないという声も聞く。なるほど、全幅1800ミリに近いこのワゴンの販売状況がすっかり落ち着くのは、それほど先のことじゃないかもしれない。
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ただ、それはレヴォーグが打ち上げ花火的なクルマということじゃない。尻上がりにヒットするか否かは恐らく今後の展開次第で、レヴォーグが25年目のレガシィだというなら、歴代がそうであったように、商品力を常に維持する工夫が必要かと。
たとえば、燃費性能ですっかり遅れをとったスバルとしては、本当は最初から用意したかったのがディーゼルやHVだけど、これは早い次期に投入できるなら遅いということはない。いや、実際欧州市場に持って行くなら、この際ユーロ6対応の水平対向ディーゼルに本格チャレンジするのも悪くないと思う。もちろん、レヴォーグ以外にも展開できるんだし。
それから、内容の濃い特別仕様の適宜追加。べつにSTIとかだけじゃなく、もっと幅広い視点でエンジンや足周りに手を加えたバリエーション、かつてのブリッツェンのような高付加価値仕様など、実のあるスバルらしい商品力を見せ続けることが肝要かと。これは歴代でずっと行ってきたことだから、その勘所も十分知り尽くしているわけだし。
そうやってスバルらしい工夫を続ければ、レヴォーグは単なるインプレッサのワゴン版に止まることはなく、独自の商品価値をもつことができると思う。そして、この手の商品展開は一旦うまく行くと好循環が始まることも多いから、まさに尻上がりなヒットも期待できる。
ところで、レヴォーグが日本市場で成功したあかつきには、トレジアがパッとしないコンパクトクラスにも本格参戦を期待したいところだ。いや、そのコンパクトと軽を見切ったからこそいまの絶好調があるんだという話は理解できるけれど、そこはそれ、やり方次第だと思うので。
(14/07/19 すぎもとたかよし)
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