|
まあ、難しいところに入り込んだなあと思う。
話題は、愛らしく流行とは無縁の初代から、実にいまどきな何とも薄っぺらいスポーツ路線になっちゃったところかと。
面白いのは、その辺をわかっているらしい雑誌メディアが、当初は新型のデザインの可否にはほとんど触れず、とにかく着せかえができることと、カッチリしたボディによる走りのよさに集中していたところなんである。
ところが、いざ正式デビューとなって一変したのは、発表会でアナウンスされた丸目ヴァージョンを見てからなんである。「ダイハツは初代のオーナーのことも忘れてはいなかった!」などと、いきなり先代デザインに言及した話が始まったから面白い。
彫りの深いキャラクターラインを除けば、なるほど先代のイメージをよく表現した提案は、秋にデビューするXヴァージョンの存在をも吹き飛ばしてしまった感すらある。
けれども、そういう提案があるとすれば、まずは標準型としてデビューしたローブのデザインは、一体何を示したのかがますます分からなくなったというのが僕の感想だ。いや、スポーティな新しいデザインがダメだというのではない。ローブの形の必然性がどこにあるのか、なぜこの形でなくてはいけなかったのか、それが分からないんである。
極端に言えば、最初に初代丸目バージョンが出て、次にローブバージョンじゃダメだったのか? いやいや、それじゃあ代わり映えしないだろうと言うなら、それほどローブのデザインに新しさや説得力があるのかと言えば、少なくとも僕にはそれが感じられないんである。
|
|
しかも、秋のXとローブは互換性がないというのもよくわからない。いや、ドアが樹脂パネルでできなくなっちゃったからなんて理由は、まあ内側の都合だ。そんな基本的な部分が計画と違ってしまったのなら、それはそれで腹をくくらなくちゃいけないんじゃ? だっていきなり着せかえできないって変でしょ、やっぱり。
たとえば、強いキャラクターラインを持たないXを唯一の標準にする方法だってあったんじゃないか?
べつに駆け上がるキャラクターラインがなくたってスポーティ版の着せかえデザインはできるだろうし、そもそも、「Xmz」としてモーターショウで好評だったXヴァージョンにはこのカタチの理由も説得力もある。実は丸目ヴァージョンもこっちのドアの方が端正で似合いそうだし。
互換性がなくなったとか、あわてて丸目ヴァージョンをチラ見せするとか、その辺のチグハグさはとにかくローブありきの話で、繰り返すけど、じゃあそれほどこのローブに魅力があるのかというとまったくの?だ。
着せかえという発想は、単にアフターパーツメーカーに限らず、大手異業種や著名デザイナーの提案なんかを考えれば、相当面白いことになり得る企画だとは思う。だからこそ、標準車はシンプルな考え方の方がよかったんじゃないか。
うるさい660エンジンとか、言うほど質感が高いと思えない内装とか、他にも書きたいことはあったんだけど、とにかくもっと基本的な商品企画のところが実に気になってしまったんである。
(14/08/04 すぎもとたかよし)
「日本の自動車評論を斬る! すぎもとたかよしのブログ」へ
|