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スズキは、今後主力車種のデザインを一新するとし、まずは次期アルトのデザインに和田智氏を起用すると発表した。
発表の記事では、外部デザイナーの起用を「スズキでは珍しい」としていたところがあるけど、そこはちょっと違うかもしれない。
かつてのフロンテやキャリーがジウジアーロなのは有名だし、SX4も同じイタルだ。先代スイフトもイタリアのカロッツェリアの「協力」を得たというから、実際には外部の手が入っていると思われるし。
だから、スズキが外部デザイナーに委託するのはアリとして、しかし今回の和田氏というのは正直意外だった。
いや、日産での初代、2代目のセフィーロやアウディでのA6、A5といった輝かしい経歴を持つ日本人デザイナーが、そのアウディを辞めて独立したままどうするんだろう、などと思ってはいた。注目されるべき日本人デザイナーは奥山清行氏だけじゃないぞ、と。
でも、ふたたびクルマのデザインに本格的に取りかかるのであれば、国産か外国車かはともかく、それなりのクラスのサルーンなりスポーティカーなんだろうな、と漠然と思っていたんである。大した根拠もなく。
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だから、いきなり軽自動車というのはそこそこの驚きだった。あ、そうなんだと。
ただ、それこそ実用セダンを基本に美しいクルマを生み出してきた和田氏の経歴を考えれば、まさに実用の極みのような軽を手掛けるのは、個人的に非常に楽しみではある。
誤解を恐れずに言えば、僕はある種のスポーティカーよりも、セダンやハッチバックなどの実用車をうまくまとめる方が、デザインとしては難しいんじゃないかと思っている。
歴代のフェラーリや、セダンでも流麗なマセラティなどを手掛けるピニンファリーナよりも、フィアットや日本車のコンパクトなどで傑作を残してきたイタルデザインに感覚がフィットするのはそのためかもしれない。
だから、ダイハツのコペンやホンダのS660だけやります、というのではなく、アルトという「道具感」満載の5ドアボディから始めるというのは実に面白いし、実用と美しさ、質感のバランスをどう表現するのかに期待している。
もちろん、今後あのカプチーノ後継のようなモデルや、あるいは次期スイフトなどの小型車も含め、スズキ車をトータルでデザイン・監修すればいいのになとは思うけれど。
(14/07/05 すぎもとたかよし)
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