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コラム&レビュー
■新車心象風景:トヨタ・ヴィッツ
■トヨタ ヴィッツ■
 (2005年2月1日発売)

◆主要諸元(1.3 U)
 最大出力:87PS/6000rpm 11.8kg・m/4000rpm
 外寸(o):全長×全幅×全高=3750×1695×1520
 標準価格:132万円(税別)

 予想とおり発売以来売れ行き絶好調の新型ヴィッツ。キープコンセプトで外寸の拡大を最小限に止め、どこから見てもヴィッツそのもののスタイルは、この2代目においてもかなり高得点だ。けれども、僕にはどうしても初代のように「スゴい!」と思わせる感動がない。それは、恐らくこのデザインに「普遍性」というものが欠けているからだと僕は思っている。

新型の試み
 新型はたしかに「新しさ感」に溢れている。ライバルとなるフィットやデミオなどに比べたら、いや、比べるのが申し訳ないくらい新しい。じゃあ、問題はどこにあるのか?今度のヴィッツが新しく見えるのは、ボディ各部にこれまでにない試みが施されているからだけど、そこにこそ問題が見え隠れする。
 まずフロントから見ると、こんもり盛り上がったボンネットと、そこに乗っかる大きなヘッドランプ、そしてこのボンネットからノーズに繋がる明快なU字形のプレスラインがある。マーチやスイフトなど、この手のボンネットがデザイナー界での流行なのかは分からないけれど、初代のボンネットは急激にスラントしていたから、この変化は実に大きく映る。U字ラインは初代にもあったけれど、新型はそれが随分と強調されている。
 ボディサイドではアーチを描くウインドウとショルダーラインが目を引く。初代は定規で引いたような直線だったから、これもまた新鮮な要素だ。後ろ姿では、バンパーラインに合わせるように大きく凹んだかたちのリアランプが特徴的。
 こうして改めて眺めてみると、新型の特徴は曲線、曲面を多用したことにあるんじゃないかと思われる。この「曲がり」が躍動感や新鮮味を醸し出しているというわけだ。
 じゃあ、そんなに工夫しているのになぜ感動がないのかと言えば、それらの処理がいちいち中途半端、もっと言えば「取って付けた」ようなものだからなのである。


必然性はどこに?
 たとえばボンネット。高く盛り上がっているのは面白いけれど、そのうえに置かれたヘッドランプのかたちが妙に曖昧なんである。このランプのかたち自体は非常にエッジが効いていて、強くなったU字形ラインと相まって大きく縦の動きを与えているけれど、しかしランプのかたちはパッと思い出せないし、ボンネットのどのあたりに鎮座していたかもまたよく思い出せない。初代は強くスラントしたボンネットの先で、ヘッドランプがきちんと収まっていた。バンパーラインを底辺とした安定感のある半月型が、急激なスラントの勢いをしっかり受け止めていたのである。この働きは強烈で、ランプのかたちもしっかり記憶に残っている。
 ボディサイドはウインドウ下段のアーチが目玉だけど、ショルダーラインのプレスと微妙にズレている上に、プレスそのものが弱く、デザインの意図がよく掴めない。初代は両者がノーズから一直線に駆け上がった平行な直線であって一切の迷いがなく、また、ショルダーラインのプレスも明快で、大きく膨らんだ下半身がしっかりとした安定感を生んでいた。
 リアランプの強い凹みについては、面白いかどうかと言う前にその必然性が感じられない。初代はリアハッチドアの開口部のかたちがそのまま上下で相似形となったもので、ヘッドランプ同様実に収まりがよかった。
 つまり、初代のデザインは必然性を持ったシンプルなかたちでありながら、同時に新しさも感じさせるものだったのである。そして、そういう造形は完成された「普遍性」を感じさせるのである。一時の「新しさ感」ではくて、永い年月に耐え得るデザインということだ。だから2代目が出たいまでも、初代の造形には何ら古さを感じることはない。これに対して新型の新しさは、あまりに小手先に過ぎるということだ。
 雑誌などではデザインの過程などが紹介されているけれど、先代同様、新型のベースともなったヨーロッパスタジオの初期スケッチは、実はもっとシンプルで、先代の普遍性が残っていた。どうやら国内であちこち手を入れているうちに、どうも饒舌になり過ぎてしまったみたいだ。

 多分、新型が初代だったら、それはそれで大いに評価されたに違いないと思う。けれども、偉大な親を持ってしまったばかりに、2代目を見る目は厳しくならざるを得ないのである。


(05/04/25 すぎもとたかよし)

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