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スイフトの仕様変更、なかなか大がかりなんだけど、何かちょっと違うかなと。
ワゴンRにスズキ自慢のグリーン・テクノロジーを投入し、リッター30キロの燃費を達成したのに合わせ、小型車にもいよいよその技術が反映されたと。
エネチャージに新アイドリングストップなど、ダイハツのイース・テクノロジーに並ぶ“積み重ね”技術に加え、スイフトの場合はエンジン本体にも手が入っていて、仕様変更にしては本気度が高そうだ。
各雑誌ではこのあたり「スズキはやるとなったら素早く徹底的にやる」という記事があちこちに見られ、かなり好意的な扱いになっているんである。
けれども、何か物足りないというか、違うというか。
スイフトは、とりわけ欧州仕込みの運動性能の高さが評価され、かつ作りのよさも相まって実力勝負なコンパクトカーとされている。同じクラスのマーチやヴィッツの体たらくぶりを見れば、その志の高さは本物だろう。
ただ、少ない弱点のひとつがエンジンバリエーションという、決して小さくない弱点になっているのが惜しいところなんである。
もちろん、設計の古かった1.5や1.3リッターエンジンを高効率の1.2リッターに集約したのは間違いじゃないと思う。でも、ファーストカーとして考えた場合、このNA1本というのはいささか心許ないじゃないか。
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まあ、街中や平地をひとりで走っている分には軽快だとしても、4,5人乗車や、高速メインの長距離ツーリングなどを考えるとやっぱり役不足で、いくらCVTの制御がよくても苦しいところだ。
片や、欧州勢のポロや新しいルーテシアが1.2リッターのターボをベースエンジンにしているのは、たぶんそういう守備範囲を広く現実的にとらえているからなんだと思う。排気量を落とすにしても、相応のトルクを残さなくてはいけないと。
じゃあ流行のHVという話では、どうやらスズキはスイフトで進めていたレンジエクステンダータイプのEVの開発を凍結したらしく、モーター方面の動力源は、通常のHVを含めて当面なさそうな気配なんである。
あと、欧州展開しているディーゼルはユーロ5適応の新開発らしいけど、そのまま日本のポスト新長期をクリアするかは?だし、そもそもスズキにその気が見られないから、スイフトとしてはスポーツの1.6以外、当面エンジンの拡充は見込めない感じだ。
もちろん、リッター26.4キロという数字は魅力的ではあるけれど、いまスイフトに必要なのはこういう軽市場での燃費競争みたいなことじゃなく、だからより実用的な“変更”だったんじゃないかと思う。
いや、近々に迫るフィットのリッター36キロ攻勢への対抗の意味もあるんだろうけど、先方はそれこそワイドバリエーションだからね。
スズキは、先のEV開発凍結にあたり、当面は既存エンジンの燃費改善技術に集中するとしたけれど、スイフトというクルマが相当魅力的であるからこそ、その判断はどうにも残念な感じなんである。
(13/08/18 すぎもとたかよし)
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