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コラム&レビュー

新車心象風景:ホンダ・アコード

 
 アコードって何だ、という話なのかもしれない。


 「セダン愛」なんて無理矢理なコピーを掲げたところで、いまこのサイズのセダンが普通に売れる状況にこの国はない。で、そのためのHV専用車という選択ということだ。

 新しいクラウンやレクサスISの販売内訳を見れば、その判断はたぶん間違っていない。となれば、クラウンやIS、あるいはカムリじゃなくてアコードを選んでもらうにはどうしたらいいのか、となる。

 その主回答がリッター30キロの圧倒的な燃費性能、に見える。ライバルが20キロ前半で独走していたところへの強烈な挑戦状として、新聞の一面広告じゃあその「リッター30キロ」の文字をわざわざ2回も繰り返していたくらいだ。

 すでに技術発表は終わっていたので、満を持しての商品デビュー。秋の新型フィットという本丸の前に、HVに対するホンダの本気度をブチ上げた格好だ。何だ、トヨタよりすごいじゃんという。

 で、それは分かるんだけど、何ていうかこの新型アコード、それにしてもピンと来ない。

 いや、理由はとくに難しいわけじゃない。アッパーミドルセダンとしての基本的な魅力が感じられないという、ここ何代かのホンダセダンと同じ話なんである。

 リトラクタブルライトを使った3代目や、スマートさを押し出した4代目あたりは、先進的だったり、いい意味でのバタ臭さだったり、とにかく他とは違うホンダ独自の存在感を放っていた。で、ホンダが会社として巨大化するのと並行し、とりわけセダン群の個性が見る見る失われて行くのは多くのユーザーが感じていたところだろうけど、その結果が年明けのアコード販売停止だったと。北米市場優先として、インスパイアとの関係がゴチャついたことも含めて。


 
 そこに強力な武器を備えて再出発したのが新型なワケだけど、残念ながら、その没個性ぶりは何も変わっていなかったんである。

 トヨタ車と見分けのつかないフロント、これBMWじゃんというサイド、これまたトヨタかヒュンダイかというリア。ついでにインテリアもBMWそのもの。自分で「端正」というくらいだから、プロポーションや全体の“眺め”が破綻しているわけじゃないけれど、革新的な初期コンペ案をすべて廃案にして「一からやり直した」という結果が、何でこんな結果になっちゃったんだろう?

 さらに、ホンダがHV用と考えているらしいLEDランプ入りのクドいフロントグリルは、この退屈なボディの前だけを妙に重く見せて、バランスも崩すという結果を招いている。まあ、海外で売られるガソリン車用の「普通」のグリルも、それはそれでつまらないんだけど。

 そりゃあレガシィと一緒で、北米市場を考えれば大味で退屈なセダンになるんだよ、なんて声があるだろうか? けれどもキャデラックはATSで新しい方向を打ち出したし、日産はアルティマで独自性を、さらに韓国勢はアグレッシブに出てそれなりの成果を得ている。

 いや、つまりアコードに対して僕ら日本のユーザーが「これは北米向けだからさあ」なんて考える必要は、実はあまりないんである。そこを差し引きして見る必要はない。

 そうであるなら、“偶然こうなった”感にあふれ、どうにも狙いが定まっていないこのセダンの佇まいは、やっぱり魅力に欠けていると言わざるを得ない。

 もちろん、ホンダらしさと言ったって、その意見は十人十色の世界だろう。けれども、どの方向にしても不可欠なのはオリジナリティだ。これはホンダ以外にないね、これこそアコードだよね、という。クラウンでもカムリでもなくて。

 まあ、それでもリッター30キロなら売れるから大丈夫、なんて勝算を持っているなら仕方がないんだけど。

(13/06/26 すぎもとたかよし)

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