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コラム&レビュー

新車心象風景:VW・ゴルフ

 
 お手本というなら、躊躇せずマネればいいと思う。


 ゴルフがコンパクトのスタンダードと言われるのは、衝撃の新提案はなくても、その時点でやるべきことはすべてやっているからこその結果なんだろう。

 プラットフォームを含めてモジュール化をテーマにした開発・設計。気筒休止も含め、新開発されたダウンサイジングエンジン。9つのエアバッグに自動ブレーキ、衝突予測システム等々の安全装備と、7代目の新型もそれは健在だ。

 もちろん、初代のモチーフをサイドに取り入れたスタイリングは確実に先代より進化しているし、インテリアを含めた質感も一世代分はカッチリ上がっている。

 何代目かのGTIがイマイチだとか、肥大化を続けるボディの是非なんて話はあるとしても、着実な作りは歩みを止めていないし、過去6代分の資産は積み上げられ、生かされていると。

 まあ、初代が「傑作」という特別なスター性はあるにしても、以降のこうした歩み、積み重ねは決して特殊なものじゃないし、特別な考え方でもない。その結果としてスタンダードの名を獲得できるのなら、それはどこのメーカーだって可能だろう。

 可能なんだけどそうなっていないのは、あえてそういう手法をとらないか、あるいは本気でやる気がないからなのか?

 ドイツのライバルはそもそもコンパクトの歴史が浅いとして、じゃあたとえばフランス勢はどうか。同じく初代が名車とされるプジョー205。続く206はカジュアルな演出でスマッシュヒット、207は大きく豪華指向に振り、今度の208は原点回帰と言いつつも、いたって“いまどき”な出で立ちだ。

 ルノーのクリオもそうかもしれないけれど、歴代の善し悪しは別として、仮に対ゴルフ商品としても、そもそもがスタンダード狙いじゃない。毎回狙いどころを変えて勝負を仕掛けている感じだ。もちろん、それがいけないという話じゃなくて。


 
 日本車はどうか? コンパクトで似たような歴史を持つカローラは残念ながらスタンダードどころの騒ぎじゃない。開発主査とその時点の経済動向ですべてがコロコロ変わる変遷ぶりは、もはや真逆の存在だ。もちろん、それはフランス勢とも話がまったく違う。

 ライバルだった日産のサニーは名前を捨てて仕切直すかと思いきや、なんとモデル自体が統合消滅という有様だし、シビックも安定しない。一時はそれこそ和製ゴルフなんて揶揄されたファミリアの名もいまはない。

 コンパクトじゃないけど、日本にはクラウンという存在があるゾ、なんて声もあるかもしれない。たしかにクラウンは14代も続く歴史あるクルマだし、セダン不況のいまでさえしっかり売れている定番だ。

 ただ、定番とスタンダードでは似ているようで結構違うところがミソなんである。4年サイクルを堅持し、先代より「ちょっとイイ」モデルチェンジを繰り返してきたけれど、じゃあクラウンはFRセダンのスタンダードなのかと聞かれれば、世界はもちろん、国内であってもそれは違うでしょう。

 さらにゴルフがすごいと思うのは、たとえばレンジローバーやランクルなど、もともと変化が大きくない車種ではなく、量販車としてそのスタンダードを貫いていることかと思う。

 初代のヒットを受け、2代目をどうするかは相当悩んだところで、モデルチェンジまでの7年間は議論の7年だったとも聞く。そこで“踏襲”を選んだ結果としてのいまは、だから決して偶然じゃないと。

 で、先のとおり、決してスタンダード狙いだけがクルマのあり方じゃないのは間違いないだろう。常に変化をしても、そこに魅力があるならそれはアリだ。

 けれども、ゴルフというスタンダードを持つメーカーとしてのVWは、それだけの価値を得ているのも間違いない。ラインナップの中でゴルフだけが光ったり売れるというのではなく、ゴルフを中心に商品が展開され、それぞれが信頼を得るという恵まれた循環だ。

 まあ、こんなことを書くと「お前はゴルフの大ファンなんだな?」とい聞かれそうだけど、実はそうでもなかったりする。随分デカくなってしまったし、自分にはコンサバ過ぎて。もっとも、別の嗜好からピカピカの2代目なんかいいなあ、なんて思ったりするけど。

 ただ、それでも世界のスタンダードを40年間継続している姿勢には賛同せざるを得ないし、そういうお手本が目の前にあるなら、たとえば日本の大メーカーには是非本気でマネてみたらどうかとも思うんである。

(13/06/06 すぎもとたかよし)

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