クルマ選びは
  新車データベース
マイカー採点簿
試乗記検索エンジン
国産車サマリー
カーライフ情報は
  厳選クルマリンク
車何でもランキング
車何でもアンケート
自動車保険
業界情報は
  ニュース&トピックス
コラム&レビュー
メールマガジン
  週刊くるまーと
モバイル対応
  運転免許問題集
ガソリン価格調査
車物知りクイズ
いつでも、どこでも
  iくるまーと(携帯)
くるまーと情報
  ウェブマスターより
広報&報道記事
お問い合わせ
 

info@kurumart.jp


トップページへ戻る

 

コラム&レビュー

クルマのまわりで:デトロイトショー雑感

 
 今回、やたらデザインがいいと評判の日本車勢を、自分もサクッと眺めてみようと思う。

 誰もカローラとは思っていなかったらしいトヨタのフーリアコンセプトは、「日本のカローラもこうなって欲しい!」と絶賛なんである。


 オーリスから謳われた「キーンルック」なフロントにシャープなリアは、まさにオーリスセダンといった趣なんだけれど、ここに同じくトヨタが推し進めるエッジを効かせたバンパーが加わって、まさに現在のトヨタ流満開な感じだ。

 じゃあ、これがそんなにいいのかと言えば僕は?だ。デザインがいいというより、何となくカッコいいと思わせるカタチ、とでも言えばいいのか? チョット絵の巧いデザイナーが、いまのトヨタ素材を取り入れてササッと描いたような分かり易さ。こういうのを見て、簡単に「カッコいい」なんて書いちゃう雑誌はどうかと思うけど。

 新型のレクサスISは、「あー、こっち行っちゃったか」な感じだ。L-フィネスな造形表現はそれなりの可能性を持っていると思うけれど、問題はそれがボディの細部に止まってしまうか、それとも全体を貫くテーマになり得るかだと思っていた。


 で、ISはやっぱり細部止まりかと。フロントのランプ周りも、サイドからリアに向けて持ち上がるラインも、ごくふつうなセダンボディの表面に後からあれこれ描き足したようにしか見えない。怖いスピンドルグリルもそうだけど、ちょっと遠目に見るとこのクルマの平凡さがよく分かるし、だったら端正な先代の方がまとまりはよかったと思う。

 インフィニティQ50=スカイラインは、ある意味ちゃんとコンセプトカーのイメージを取り入れている。日産で好印象なのは、○○グリルとか、○○デザインとか、そういう言葉優先みたいなことを大声で言わないで、あくまでも現物で見せているところだ。


 ただ、流麗の極みなエッセンスの要素を市販車に取り込むのは、それなりに難しいとは思う。それはつまみ出したようなキャラクターラインも掟破りな凹型グリルも同じで、制約されたサイズの中では消化できない危険を伴う。実際、Q50も結構ギリギリな感じだし。

 レゾナンスは、次期ムラーノとか単なるデザインスタディとか諸説あるけれど、いずれにしても日産ブランドはどうもこっち方面なのかと。ジュークの奇抜さというよりは、ノートのライン構成を発展させた感じだろうか。




 
 たしかにフロントグリルと一体になったボディ前半の塊りと、ブラックを多用したシャープなリアの組み合わせは結構まとまりがいいと思う。けれども、日産は本当にこういうエモーショナル方向に邁進してしまうのかという点には一抹の不安がある。

 それは、欧州フォードや韓国勢など、同様の流れがいまや他にも溢れていることで、なぜいま日産がこっちなのかがどうしても分からないからだ。で、こっち方面をやるんだったらもう徹底的に攻めるしかないんだけど、たとえば、次期デュアリス?なんて言われている、昨年のジュネーブショーに出品されたハイクロスコンセプトみたいな中途半端なことになる危険性もあると。

 アキュラブランドのNSXコンセプトも大いに盛り上がっているけれど、これもカローラ同様何となくカッコいいイメージスケッチそのままな感じで、明確な個性が感じられないのが残念だ。いや、たとえば同じホンダでもEV-STARの方がよっぽどオリジナリティがあるでしょう。


 たしかにエアインテークらしき“吹き抜け”は、大きな口を開けていながらキャラクターラインも連続するという巧妙な技を使っているけれど、そういう部分的なところをアテにしてしまうのは危険じゃないかと。

 フィットベースと言われるホンダのアーバンSUVコンセプトも、そのNSXと同じテーマを使っているのが同社らしい。最近のホンダは、同じショーに出すコンセプトカーが、たいてい同一のテーマで意識的にまとめられているのが特徴なんである。


 けれども、リアから流れるそのテーマがコンパクトSUVとして新しい提案になっているかと言えば僕としては?だ。単純に、今回のテーマという話を別にすれば、なぜこういうラインになるのかがサッパリ分からない。フィットベースなら、フィットのシンプルさをもっと生かした方がいいんじゃないのかな?

 雑誌などで「今回の日本車勢はデザインがいい!」と書かれているのは、まあ決して分からない話じゃない。少なくとも、エクステリアに勢いを感じるコンセプトカーは多いと思うからだ。

 それ自体はもちろん悪いことじゃないけれど、じゃあどれもがいいデザインなのかと言えば、それはあまりに安易な記事(話)だろう。シャープで流麗なラインの「カッコよさそう」なデザインは、社内デザイナーはもとより、デザイナー志望の学生にだって描き易い方向なんである。

 だから本来は、単に「カッコいい」じゃなくて、もうひとつ次元の高いところの話をしなくちゃいけない。プロの評論家が書いている専門雑誌であれば、ね。

(13/01/28 すぎもとたかよし)

日本の自動車評論を斬る!
すぎもとたかよしのブログ
」へ

本サイトへのリンクはフリーですが、画像・文章を転載する際は事前にお知らせください。
(c)2013 MICle Corp. all rights reserved.