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コラム&レビュー

クルマのまわりで:ピンク・クラウン、快走!

 
 昨日、リコール好きの朝日新聞にピンク・クラウンの記事が載ったのは、さすがに意外だったんである。


 ま、朝日に載るくらいだから、このピンクカーが大方好評の目で迎えられているのは間違いないようで、その点個人的には何だかなあ、といった気分だ。

 べつに詳しい話を聞いたわけではないけれど、取りあえず「どこでもドア」の色にしたのは間違いないだろうから、それをTVCMという虚構空間の準主役にするのは悪くないと思う。

 そもそも是非だ何だと言ったって、広告塔に仕立てた結果、これだけあちこちで話題になることで当初の目的は十分以上に達成されているわけで、トヨタとしてはしてやったりだ。ま、僕自身こうやってコラムなんか書いているわけだし。

 ただ、だからこのピンク・クラウンは正しいんだとは、少なくとも僕は思わない。

 まず、こいつは「トヨタがこんなに変わった」という象徴とされるけれど、クルマをピンクに塗ったくらいで変われるんだったら苦労はない、と。言い方を変えれば、このピンクを持ち出さなくては「変わった」とアピールできないとしたら、そこには実質的な中身など何もないんである。


 
 だから、仮に伝統あるクラウンが変わったというなら、それは当然クルマの出来自体でアピールされなければいけない。けれども、実際にはHVこそ他車種と同レベルになったけれど、モデルチェンジのインパクトではゼロ・クラウンに遠く及ばないじゃないか。

 話題のグリルについては、「意外と違和感を感じない」なんて書いている評論家もいるけれど、あんなに大仰で妙なカタチをしていながら結果的に目立たないというのでは、言ってみれば二重の意味で失敗していると僕は思う。

 さらに、ボディカラーで言うなら、奇抜な色を限定発売するより、標準車でもっとバリエーションを広く設けるべきだろう。そこに新しい発想を出してこそ本当の”変化”なのであって、直球なアピールも十分可能な筈なんである。

 それが何かこう、アドバルーンによる話題性だけで「今度は違う」みたいな話は、まるでアベノミクスに踊るメディアのようで実に気持ちが悪い。一方でヴィッツだのカローラだのポルテといった全然“新しくない”クルマを量産しておいて何を言ってるんだと。

 とくに必要以上に否定するつもりはないけれど、これがいいだの面白いなどとも思わない。願わくば、ドラえもん由来のピンク・クラウンで話題集中なんかにならないような、大人なクルマ社会になって欲しいとは思うけれど。

(13/04/06 すぎもとたかよし)

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