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コラム&レビュー

新車心象風景:トヨタ・クラウン

 
 クラウンはトヨタの象徴だから、文字どおりいまのトヨタを映しているんだと思う。


 べつに言葉尻をとらえてどうこうってワケじゃないけど、たった2世代前に「ゼロ」にリセットしたばかりだというのに、早くもRe BORNだというのにまず相当無理があるんじゃないかと。

 いや、そうは言っても実際にRe BORNしているんだったらそりゃあ大したもんなんだけど、じゃあ何が生まれ変わったのかと改めて新型を眺めてみても、残念ながらそういうものは見当たらないんである。

 たとえばエンジンの排気量を一部小さくしたり、本格的なHVを設定したりはあるけれど、べつに思い切って1.4リッターとかにしたわけじゃないし、HVはカムリからの流用と、それは特段Re BORNと言えるような話じゃない。

 デザイナーが頑張ったという例の巨大なグリルがそうなのかと言えば、あんな恥ずかしいカタチを顔に貼り付けて生まれ変わりもあったもんじゃないし、社長が「市販する」と公言したショッキング・ピンクのボディに至っては、それこそが「生まれ変わって欲しい」ところだ。

 じゃあ、トヨタが訴えるRe BORNって何なのかと言えば、まあそんなような“空気”のことなんだと思う。

 たとえば、ジャン・レノやたけし、ドラえもんファミリーを使っての一連の広告展開がそうだ。大々的で、何か新しいことが始まりそうな雰囲気に溢れているけれど、べつに具体的なメッセージがあるワケじゃない。

 最近の発表会がまさにその流れだろう。ヴィッツの発表会では、イケメン俳優を連れて来てどうでもいいインタビューを続けたり、パッソでは鳩のお父さんと子役の寸劇を見せたり、およそ大メーカーの公式発表会とは思えない稚拙な進行を見せてくれる。


 
 少し前、トヨタのマーケティングを行う関連会社が「女子消費力」をテーマにした本を出したけれど、クルマにおいて女子の感性に期待する僕でさえ、「何をいまさら」な市場調査を綴った内容に一抹の不安を抱えたものだけど、どうもそれが現実になっている、というのが僕の感想だ。

 国際ショーのブースをドラえもんで埋めちゃうのも、発表会で社長が子供っぽいスピーチを繰り返すのも、すべてはこのマーケティング会社と自社広報の頓珍漢な仕掛けが原因なんだろうし、そうやって醸し出される意味不明な元気印の雰囲気が、いまのトヨタそのものを表現していると。

 どんなに「僕が欲しいクルマを作る!」と社長が訴えても、オーリス程度のデザインに満足し、いわんや新しいパッソやヴィッツ、カローラといった壊滅連合を出してしまうのは、つまりその雰囲気に何ら実体がないからなんじゃ?

 ギザギザのグリルはデザイナーのチャレンジだと大いに自慢し、ピンクのボディを発売するのは役員の「変化」だと自信満々にアピールするクラウンは、だからやっぱりいまのトヨタそのものだと僕は思っている。「ゼロ」で見せたクラウンの本気の変化が、今回同じ開発主査でありながら、結局2世代分を足踏みさせてしまったように。

 ただ、それでもその“雰囲気”や“空気”にもっとも弱い日本のユーザーは、それなりの若年層も含んでこの醜い顔を買うんじゃないだろうか。当然、ピンクのボディもあちこちに現れて、ただでさえ壊れている日本の街の風景にトドメを刺すんじゃ?

 結局、おなかしなマーケティングは、もっとおかしな市場で評価され、その点でトヨタは成功するんだろうし、仮に今度はロイヤルもアスリートも中国メインだというのであれば、世界一を奪還したトヨタはもう盤石なんである。

(13/01/21 すぎもとたかよし)

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