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コラム&レビュー

新車心象風景:日産・シルフィ

 
 どういう商品企画なのか、と思うんである。


 まず思うのは、日産のラインナップの一貫性のなさだ。

 シルフィは、サイズこそ若干大きくなったものの、このモデルチェンジに大きな違和感を持つことはない。ほどよいサイズにクリーンなフォルム、合理的なパッケージングに、高級ではないけれど丁寧で良心的なインテリア。玄人受けしたといわれる先代のそうした成り立ちは、多少の雰囲気の違いはあれ、ほぼ引き継がれたと思う。

 一方で、たとえばほぼ同時期に出たラティオは、前回ここで書いたように壊滅的な安っぽさに溢れ、いくら顔を似せたからと言っても、同じセダンとしての弟分というよりは、コストダウンに邁進したマーチやノートのチームに属した格好だ。

 この線引きが、同じメーカーの商品展開としてスゴイなあと。

 同様に世界戦略車として開発された商品であっても、軸足となる国や想定顧客層によって作り込みに大きな差が出る。中国市場の他、北米でセントラの新型となるシルフィが、ラティオと違ってそれ相応の作りになるには理由があると。

 けれども、それやこれをそのまま日本に持ってくれば、同じメーカーのラインナップなのに、各々の商品性がまったく違ってしまう。これは、たとえば自国と欧州メインのマツダが、デミオ、アクセラ、アテンザと、一貫した商品作りをしているのと対照的なんである。

 そしてもうひとつ、最新の日本車の商品企画としてどうなんだ、という話がある。

 先のように、ミドルセダンとしてはそつなく作ってあるけれど、じゃあそこに2012年のクルマとしての商品性がどれだけあるかというと、これが結構寂しい感じだ。


 
 それがクリーンディーゼルやHVのような動力源であれ、自動ブレーキや全車フルエアバッグなどの安全装備であれ、あるいは図抜けた走行性能であれ、まあ何だっていいとは思うんだけれど、これが最新の商品ですというメッセージがどうも見当たらない。ただでさえセダン不況の日本市場で、これは一体どういう商品企画だったんだろうかと。

 もちろん、あれこれテンコ盛りしてないといけない、なんて話じゃない。けれども、やっぱりいま世に送り出すクルマとして、開発者の「コレだ」という提案は見せて欲しい。単に、内装の素材がちょっと新しいとかじゃなくて。

 いや、実際このクルマについて経済方面のニュースと来たら、「あのブルーバードの名称が消えた」というのがほとんどで、クルマ自体の話はほとんど出てこなかった。そりゃあ、あんまりだと思う反面、まあそうだろうなともなる。

 さて、先の一貫性の話に戻れば、いま日産のラインナップを改めて見ると、本当にスカスカな感じに溢れている。こう、インフィニティとしての上級車種と、新興国を想定したお安いコンパクト群に大きく分かれていて、いずれも日本市場へ根付いた感に乏しい。

 現実に売れているSC搭載のノート、HVを追加したセレナ、デザインで引きつけるジューク。こんなにも多くの車種がある中で、これは売れるだろうと直感できる商品企画はそんなものだ。以前、ここでは打率が低いと書いたことがあるけれど、これだけのラインナップを揃えながら、月1000台売れるか売れないかのクルマが多すぎる。

 まあ、何度も言っているけれど、すでに日本市場を半ば捨てている、あるいはメインの市場じゃないと認識しているのでれば、これはもう仕方がない。寄せ集めでも「あるだけマシと思え」と言われればそれまでだ。

 もちろん、技術の日産として多くのファンを生み出した古きよき時代にしろ、あるいはV字回復時に見せた原石のような輝きにしろ、メーカー自らが自社の功績を放棄するようなことをするのは、なかなか度胸があるとは思うけれど。

(13/01/03 すぎもとたかよし)

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