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■日本初?
日産はムラーノの発表に併せて何と6車種もの新型予定車を発表した。べつにサービス精神から、というワケじゃなくて、01年度から100万台を上乗せさせるという例の日産180計画の最後の公約が「危ない」かららしい。思わしくない国内販売を活気づけようという作戦の一貫だ。さすがゴーン氏は策士だけど、でも肝心のクルマには?なものがある。本当にこれでいいのかというクルマが・・・。
■これはオッケー
すでに発売されたティーダは、何やらフランス車のモノマネなどと陰口を叩かれているようだけど、実物を見ると決してそんなことはない。マーチやムラーノといった最近の日産車に共通した文法で上手くまとめられていると思う。それにティアナのチームが担当したというインテリアはオリジナリティが高い。
トランクを付けただけでこんなに印象が変わるのか?というラティオは、ティーダに比べるといささか保守的になっているけれど、サニーの正当な後継として考えればむしろ随分進化しているんじゃないかと思える。大きなキャビンはこれまでのサニーとは比較にならないパッケージングの改善だし、ボディサイドに回り込んだボンネットとトランクの切り込み線は昨今の流行でもある。初代のプリウスを見たとき、これが新型カローラならいいのにと思ったものだけど、その時に似た感じがする。それに、中国などのアジア戦略車として開発されたのであれば尚更順当に思えてくる。
フーガは個人的にイチ押しである。シーマ、スカイライン、ティアナと続いた美しいルーフラインを持つ6ライトビッグセダンの完成型だと思う。これが売れなければ買わない方が悪い。ゼロクラウンなどと比較すらしちゃいけない。
で、問題は残り、ラフェスタとノートの2台なんである。
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■後発なのに・・・
お待たせしましたという日産5ナンバー3列シートミニバンのラフェスタ。満を持して、という割には随分没個性なんである。流線型の分かりやすいカッコよさを打ち出したホンダ・ストリームや、そのコピー版であるトヨタ・ウィッシュに対し、スクエアな造形でまとめようという発想はいいのだけど、残念ながら結果が出ていない。弟分のキューブはそのスクエアを売り物にするまでしっかりデザインが行き届いているけれど、ラフェスタは少しばかりリア周りが面白い程度で、とにかく退屈だ。角ばったヘッドランプのフロントはいささか古臭さを感じてしまうし、サイドには個性のカケラもない。畳一畳分のガラスルーフだけが売り物じゃあ何とも物足りないじゃないか。それに2リットル1本というのもどうかと思う。エルグランドが3.5リットル1本で失敗した反省に立てば、ここは1.8の廉価版も必要じゃないのか。もしかしたら後日追加なんて計画かもしれないけど、最初の立ち上がりでクジいたクルマを復活させるのは至難の業だ。性懲りもなくまたまた万人向けの手堅いカタチで登場したトヨタのアイシスなどを見ると、なおのこと大丈夫かと思う。
■まだ間に合う?
マーチ、キューブに続くコンパクトカー第3弾のノート。寸法的にフィットあたりが仮想敵だとも言われているけれど、どうにもつかみどころがない造形ではないか。いや、マーチやキューブがあまりに個性的だから、そこですくえない客を獲得しようということなのかもしれないけど、それにしても何をやりたいのか全く分からないカタチだ。マーチみたいなフロント、まさにフィットみたいなサイド、そして突然ランプだけが異様な形をしているリア。これらが全然噛み合っていない。それとも外観からでは分からない隠し玉でもあるというのか?
日産はデザインをSHIFTすると公言した筈だ。確かにZやマーチ以降の作品には目を見張るものがあると僕も思うけれど、この2台だけは全くSHIFTしていない。イヤミじゃなくて本当にこれが完成型なのか?本当はまだ手を入れるんじゃないかなどと勘ぐってしまう。
いや、是非手を入れて欲しい。何しろまだ発売していないのである。まだ間に合うんである。「あれは試作品でした」ということにして、いまのうち本当にSHIFTさせて欲しい。そうじゃなきゃ、6台同時発表というせっかくの大イベントが無駄になってしまうじゃないか。
(04/10/05 すぎもとたかよし)
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