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何でもかんでも「誉める」ことができるのはひとつの才能なのか? いや、そういう単純な話だったらいいのかもしれない。問題意識がないということが一番怖いことだろうなと思う。
■また派生車?
新しいポルテの自慢は片側スライドドアだそうで。まあ、G-BOOK発表にあたってはそのために妙なクルマを1台作っちゃうくらいだから、スライドドアのためにクルマを1台作ってもいまさらそんなに驚きはしないんだけど、しかしよくやるよとは思ったりする。それでもって実際売れちゃうんだから、そりゃもうトヨタはやりたい放題なんである。
けれども、いつも言うとおりメディアまでもそれを追随するのは止めてもらいたいなあと思う。たとえば8月10日発売のベストカーやCAR and DRIVER誌なんかがいい例だ。そもそも、またもやヴィッツ派生だという時点で「フザけるな!」と一喝してほしいのだけどさにあらず。
後席の先端まで開く件のスライドドアはアルファードより大きいと誉め、地上高30pの低床構造はヴィッツより低くて使いやすいという。
そうするとアレか、同じ時期に出たパッソなんかはヒンジドアだし低床構造じゃないし、全然使い勝手が悪いってことか? アルファードもヴィッツも要らないってことか? でもパッソはパッソでついこの前に随分誉めてたような記憶があるけれど、どうなのよその辺は。
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■いいじゃん、これで
いや、何もいちいち揚げ足を取ろうっていうんじゃない。そうやって次々と際限なく出てくる新型車を何のためらいもなく肯定していたら、別のところに矛盾が出ていることに気付けよなと言いたいだけなんである。
たとえばね、全然クラスが違うとか、ジャンルが違うとか、そういうことだったら考え方も違ってくるのは当然なんだけど、ヴィッツやパッソなんてクラスも同じだし、小家族や女性向けなんていう使い方までカブってるわけでしょ。
そういうときに評論家やメディアが何で突っ込まないかね? 一体トヨタが考えるコンパクトカーって何なのか、その辺ハッキリしなさいって。そりゃあメーカー自身が一本筋の通った仕事をすれば一番いいんだけど、いまのトヨタは売れれば何でも作っちゃうわけだから、外の人間が釘刺さないとダメでしょう。これじゃあ評論家じゃなくてただの解説者だよね。ベストカーのT氏なぞ、何が嬉しいのかポルテの窓から身を乗り出して大ハシャギしている。一体何なんだろう、こういうのは。
同誌は、最近の実用コンパクトカーを列挙して「これでいいじゃん症候群」が若いユーザーに溢れていると分析めいたことを書いている。なにを言ってるんだい。あなた達が見境もなく何でも誉めちぎるからこういう状況を招いているんじゃないか。
(04/08/14 すぎもとたかよし)
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