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『NAVI CARS』は何でCARSなのかと思ったら、なるほど『MOTO NAVI』や『BICYCLE NAVI』のクルマ版、ということみたいだ。
以前にも書いたけれど、大学時代、『NAVI』の創刊に出会ったことがクルマ好きへのきっかけとなった自分にとって、NAVI的雑誌の復活は実にうれしい話なんである。
読者である自分でもそうなのだから、実際NAVIに携わってきたスタッフにとってはまさに悲願だったのかと思う。実際、iPad版でのチャレンジは早々の休刊となったし、この準備号が書店に並ぶのだって、もしかしたら奇跡的なことなのかもしれない。
どうやら秋に正式創刊ということだけど、もちろん商機はあると思う。バブル隆盛期の編集長が創った『ENGINE』は基本いまでもそっち方向だし、姉妹誌だった『CG』はスポーティカーへの偏重が固まりつつあるし。
そこに、クルマを幅広い視点から語るNAVIの入り込む余地はきっとあるんじゃないかな。当然、それはスタッフ達も十分理解し、直感しているだろうけれど。
ただ、それでも準備号を読んで不安がなかったわけじゃない。
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たとえば小川義文氏の写真とか、ちょっと古いクルマとか、あるいは女子会的クルマ選びとか。NAVIファンとして懐かしく香しい記事たちは、同時にもはや使い古しの企画でもある。もう一度NAVIを創りたいという強い思いが、仮にそうした郷愁に浸ってしまうと、結構大きな落とし穴が待っているかもしれない。
それと、「NAVI TALK」という看板記事がどうなるかもあるかな。
休刊前は別メンバーでチャレンジしたけれど、残念ながら成功しているとは思えなかった。そりゃそうだ。この雑誌を築き上げた看板記事がそう簡単に代役で務まるわけがないもの。
もし、これからもNAVI TALKをやるんだったら、オリジナルメンバーにお願いするしかないと僕は思う。ま、巨匠も「間違いだらけ」を復刊したことだし。それに、彼ら3人であれば、いま求められるTALKを模索することもできるだろうから。
そうじゃなければ、根本的に看板企画を練り直すか、巻頭特集に集中した方がいいと思う。仮に新車を語るにしても、NAVI TALK流である必要はないわけだしね。
ま、そんな不安はありつつも、ポカンとあいた空き地にNAVI(CARS)が戻ってきてくれるのは、ひとりのクルマファンとしてはやっぱり嬉しい。
だから、ここまでこぎ着けたスタッフに、陰ながらエールを送りたいんである。
(12/06/18 すぎもとたかよし)
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