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上海でのメルセデス・ベンツ「コンセプトAクラス」は、ホンダ・フリード真っ青のボディサイドラインがまずもって鬱陶しいけれど、ポイントはそこじゃなくて。
それよりも、そのうるさいボディラインを取っ払ったときに浮かび上がる、パッケージングの変化こそがメインテーマなんじゃないかと。やがてそこにはバッテリーが並べられるという話もあった二重フロア構造を放棄し、そこで打つ次の一手。
と、これがBMW1シリーズやその亜流たるレクサスCT200hそっくりの低全高スモールキャビン・ハッチなんである。しかも、目つきは最近の日産コンセプトカー、リアはアウディ?など、あちこちのメーカーから拝借してきたようなディテール処理にあふれる。
つまり、今回は基本パッケージも各パーツも完全に後追い企画ということで、これはかなり意外な展開だ。とりわけパッケージは、いま新たなハッチバックを作るとして、なぜこの方向を選んだのだろう?
もちろん、最終的なまとめ方として、このコンセプトカーがそうであるように、たとえばミニSLSやCLS的な味付けするなどしてベンツらしさを出すこともできるとは思う。
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けれども、A1が絶好調のアウディがどんなA2を送り込んでくるかが待たれるなか、ドイツ勢牽引役のベンツが基本後追いっていうのは残念な感じだ。現行のEやCで垣間見えた「よき時代」と現代の巧い融合という新機軸はどうしちゃっんだろう。
一方、そのアウディがジュネーブ版をPHVにして持ってきた「A3e-tronコンセプト」は、かなり巧くまとめていると思う。
定番のA4より小さいボディのセダンをどうしようかというとき、高い位置にシュッと一直線のショルダーラインを持ってきて「シャープで厚いボディ」を演出、これを同様に切れ味のいいランプやドアノブなどでまとめる。
厚いボディでコンパクトながら存在感を出し、しかも強くシャープなラインでA4との差別化も図る。このふたつの条件をクリアした手腕は見事で、このセダンボディはかなり魅力的だ。それは、より市販車に近いであろうジュネーブ版の方が却ってよく見えることからも言えるかと。
コンパクトハッチの衣替えや、小さめのセダンの立ち上げにあたって見えたのは、最近の流れのとおり、まだ仕切直し中のベンツと、巧妙なアウディという構図みたいだ。
(11/05/07 すぎもとたかよし)
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