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■主役はレクサス？
実際に見てみれば「なるほどネ」と思ったわけだけど、やっぱり意外だったのはレクサスブースの出展だった。ここに展示された2台のコンセプトカーは、雑誌メディアなどでカッコイイ、素晴らしいと、ほぼ絶賛に近いんである。
いや、たしかにこの2台はカッコイイ。どういうカッコよさかと言えば、高いショルダーラインと伸びやかなボディに薄くて小さなキャビンをおき、それに大径タイヤを納める巨大なホイールアーチの組み合わせで、つまりこれらは近頃のエクステリアデザインの初期スケッチをそのままモデリングしたようなカッコよさなんである。
とくにクルマに決定的な表情を与えてしまうフロントとリアのライトをほとんど非現実的なまでに小さく目立たなくして、実に無機質な雰囲気を醸し出しているところなんぞはそのいい例だろう。こうしたアプローチは最近のアウディやプジョーのコンセプトカーと同じ方向じゃないかと思う。
■今度は高級車なんです
LF-Sは次期アリストのコンセプトなんだそうだ。初代はクラウンオーナーの高齢化状況に風穴を開けたいというトヨタの思惑を、イタルデザインの躍動感、塊感あるボディが見事に具現させ、社内デザインと言われる現行の2代目もほぼ同じテーマのデザインで続いている。
けれども、アメリカのCALTYの手になるというLF-Sのエクステリアは、ビッグキャビンが特徴だった2代目までとは逆行した表現をしてきた。実際のパッケージングがどうなっているかまでは分からないけど、少なくともエクステリアデザインについては完全に方向転換なんである。
どうして？ まあ、3代も続けばそれなりの変化はあるんだろうけど、やっぱりレクサス店のブランド化推進作戦なんじゃないか。なにせ間もなく国内でもレクサスブランドをブチ上げる予定だ。これまでトヨタのお店で売っていたアリストが、いきなりレクサスですよ、高級車になったんですよ、と言われてもそりゃあピンと来まい。だからまずはカタチから大きく変えてやろうということなんだと思う。
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■高級。でもモノマネ
さて、高級SUVであるLF-X、悪いけれどこれは僕としては論外だ。だってこれ、どこからどう見たってインフィニティのFX45でしょ。最近ではホンダ・ストリームのコピー商品だとして、ウィッシュが一部で顰蹙をかったばかりだけど、こいつもまたあまりに露骨じゃないか。しかもこいつはウィッシュと違って高級ブランド商品のコンセプトの筈だ。そんなクルマがあからさまなコピーであるなんて僕にはどうにも信じられない。そりゃあ、アメリカのスタジオが、実際にアメリカで好評を得ているクルマに気をとられるのは分からないではないけど、これはどこかで誰かが止めなくちゃダメだ。
■カッコイイ？
トヨタブランドとしては、何だかんだでこのクラウン・コンセプトが一番人気だった。
トヨタ自身も、そしてメディアもカッコイイだのスポーティだのとベタ誉めだけど、僕はまったくそう思わない。たしかに初めてのV6搭載でキャビンは前進しているし、フロントオーバーハングもかなり短い。ホイールも時流に合わせて随分と大きく迫力がある。でも、逆に言えば変わっているのはそれだけなんである。
やはり流行を取り入れた切れ長のヘッドライトは、妙に凝っているけど実際どういう形なんだかよく分からないし、恐らくアスリート系であろうフロントグリルも品がないうえ超が付く没個性。キャビンは大きくなっているけれど、ボヤンとして緊張感のないピラーやルーフの形は相変わらず、リアランプもまたメルセデス調のまんまなんである。ショルダーラインの膨らみは欧州生まれのアベンシスを連想させるけれど、他の部分が旧態依然としているので「取って付けた」感が拭えない。
そんなこんなで、僕にはどうしてこのコンセプトカーの評判がいいのかさっぱり分からないんである。いや、クラウンとしては大きな進化だよ、なあんて声が聞こえそうだけど、そんな色眼鏡を自ら進んでかけてはいけないんじゃない？
（03/11/12 すぎもとたかよし）
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