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6日の新聞紙上で雑誌NAVIの休刊が報じられた。
そんな話を少し前に聞いてはいたけれど、会社からこれほど早く発表するとは少々意外だった。次号から編集長を交代して誌面もリニューアルと謳っているから、多少の混乱はあったのかな?
以前にも何度か書いているけれど、僕が創刊から欠かさず購読している自動車雑誌はこのNAVIと、いまお世話になっているマガジンXだけ。というか、クルマに興味を持った大学生時代にちょうど創刊したNAVIがあったからこそ、いまこうしてライターの真似ごとをやっている具合なんだとも言える。
初代大川編集長の掲げる新自動車評論を具現していたのは名物コーナー「NAVI TALK」だったけど、作家や評論家を執筆陣に招いたのは、文化としての自動車を語る試行として、少なくとも当時は画期的だった。
また、たとえば下野氏の人気連載「イッキ乗り」が痛快だったのは、単に面白おかしい語り口だけが理由じゃなく、そうした雑誌としての明快なビジョンが底に流れていたからこそなのだと思う。自由主義か平等主義か、とにかく反権力の旗を掲げんとする・・・ように感じさせた初期の方針に、きっと僕は賛同したんだと思う。
2代目編集長の鈴木氏が推進したクルマ生活を彩るモノへの注視は、同時に氏が語る学生運動の残り香や矢作氏の起用などと相反するじゃないか? なんて批判を抱えつつも、おそらく知的好奇心とモノ=ファッションを自動車雑誌で融合させたことが読者層の拡大につながったように見えた。
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けれども、その後のNAVIは少なからず迷走していたんじゃないか? この辺はいろいろな意見があるとは思うけど、創刊以来の財産を使いつつ、しかし容易に新機軸が見つからないという感じがどうも・・・。
とくに最近はポルシェだフェラーリだルマン参戦だと、どうにもバブリーな企画が多くなったこと、編集部員よりも他誌と同じような評論家起用が目立ったことなど、これが果たしてNAVIなのか? と首を傾げていたのも事実なんである。ファッションや時計などのページは、いまだに載っている必然性がほとんど感じられないし。
もちろん冷静に考えれば、NAVI TALKが終わったとき、この雑誌を継続するための求心力も実質的にほぼ失われていたのかとは思う。そりゃ、自分がこの25年間でずい分と年取ったのもあるんだけど、想定を超える記事によって自分を導いてくれる感覚はずい分減ってしまったなあと。
今後は老舗雑誌CGに集中するなんて会社のコメントがあったけれど、個人的には新生NAVIたる新冊子による“再出発”を期待したい。もちろん、CGは変わらないという前提なら。
HVやEV以外はクルマにあらずとか、温暖化はクルマが主犯などという短絡的TV報道。外国勢に見切られそうな日本市場。過剰ラインナップと価格破壊、等々。クルマ評論なんていまさら・・・などと言われていても、初心に戻ればやることはまだまだ山ほどあると思うからね。
とりあえず、あと2号はしっかり読ませていただこうと思う。
(10/01/07 すぎもとたかよし)
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