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コラム&レビュー

新車心象風景:トヨタ・マークX

 
 話としては、HVじゃないトヨタの新車ってどうなんだ?ってことなんだと思う。


 のりピーだ結婚詐欺女だと、どこもが極端に一色に染まるTVニュースと同じく、すべてがHV大合唱になった自動車メディアのお陰か、もはや尋常でない受注数となったプリウスに比べ、先代に続いて佐藤浩市部長が頑張っているマークXの存在感は、しかしかなり薄い。これでSAIが発売になったらどうすんの?というくらいに。

 けれども、実はバカげた過熱報道だけがその原因じゃない?という可能性はあるだろう。それは多分、HVという飛び道具に対する、ガソリン車なりの反撃用新提案、あるいはセダンの可能性なんかが見当たらないからじゃないのか。

 それは「グラマラス」と「テック」を組み合わせたスタイリングとか、光りモノを加えて豪華っぽいインテリアとか、BMW5シリーズを目標にしたリニアな走りとか、V6 2.5リッターでなんと238万円から!というお値打ち価格とか、そんなんじゃなく。

 実は、いま売りの「ベストカー」でもこのマークXについて評論家諸氏のコメントが載っているけれど、ほぼ全員が装備やスペックで考えればリーズナブル、お買い得感が強いに終始しているんである。それでセダン復権の起爆剤になるか、なんてやっているんだけど、やっぱりそれは違うんじゃないのか?


 
 たとえば、少し前に書いたVWのように燃費向上を追及して1.6、1.8リッタークラスエンジン+過給機にダウンサイズするとか、デュアルクラッチのような高効率ミッションを投入するとか、あるいは素材や工法の工夫で大幅な軽量化を図るとか、別の視点ではIQの技術を応用して画期的に広大な居住空間を作り出すとか、そういう次元の提案が必要だったりしないのかなあと。

 もちろん、今後のニューモデルがずっとこんな感じだとは思わないけど、少なくともマークXを見る限り「HVはガンガン行くけど、ガソリン車は取りあえず現状+低価格を前面に」にしか見えないんである。それは戦略としてマズイだろうし、HVは新鮮だけど、ガソリン車もこんな可能性があるよ、というメッセージが欲しい。もちろん、同時にセダンとしての新提案だって見てみたいでしょ。

 モーターショー会場でも、デビューしたての割には“人気モデル”になり得てなかったっけ。そりゃあFT-86に持ってかれたのもあるんだろけど、それにはそれ相応の理由があるんじゃないかと思う。いや、マークXにもすぐにHV仕様出すからいいの、ってことなら仕方ないんだけど。

(09/11/18 すぎもとたかよし)

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