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コラム&レビュー

新車心象風景:フォルクスワーゲン・ポロ

 
 新しいポロがいいなと思う理由はふたつかな。


 まず、エントリーに近いコンパクトカーなのに、技術の出し惜しみがないこと。たとえば最初に導入のコンフォートモデルでもあの7速DSGが用意されてたり。いや、べつにデュアルクラッチが万能って話じゃないけど、安くするんだから適当なヤツを・・・ってしないところがね。

 あと、来年中ごろには1.2TSIも来るそうで、小排気量直噴エンジン+ ターボというVWの新提案を日本に持ち込む積極性がいいなと。実質1.6〜1.8Lクラスの高トルクと、18km/Lを超える省燃費の両立は相当使い易そうだし。できれば、例のブルーモーションも入ってくれば、HV一辺倒なここ日本の雰囲気も変わるのにね。

 それと、もうひとつはスタイリング。ワルターデ・シルヴァ氏による新世代VWとして、先行したゴルフよりまとまりがいいと思わせるのは、よりコンパクトなサイズのお陰かと。プレーンな面を基本とするデザイン文法は同じなんだけど、小さい分だけ“間延び感”がなくて引き締まっているでしょ。

 それにフロント下のラジエターグリルや、ボディサイドのキャラクターライン、あるいはリアランプの処理がいずれもエッジを効かせていて、プレーンな中にも勢いを感じさせてるのがまた巧い。


 
 個人的にはメルセデス、BMW、アウディなど、いいものとは分かっていても感心が持てなかったドイツ勢で、かなり本気モードになった初めてのクルマかもしれないんである。イタリアンデザインのドイツ車は、考えてみればイタリアンデザインの日本車である我が愛車に近いものがあるのかな?

 あとは、明るい黄色とかグリーンとか、パッとするボディカラーと、開放感のある色調のインテリアがあれば言うことなしなんだけど、残念ながらいまのところそれはナシみたい。黄色はあるけど少々彩度が低いし、インテリアはブラックのみだもんね。

 次期マーチがコスト最優先でタイ製になり、ヴィッツ(クラス)やフィットがHV攻勢を掛けようとしている中、従来の技術の磨き込みと、美しいデザインで総合的な商品価値のアップを仕掛けてきたVW。この考え方の違いは興味深いなと思う。

 国産メーカーでも、マツダは従来技術のブラッシュアップで数年内にリッター30kmのコンパクトカーを出すとか。新型エンジンやアイドリングストップなんかね。そうなると、次期スイフトあたりには何らかの独自提案があるといいと思うな。少なくとも、HVを含めた低価格競争に走らない何かを。

(09/11/2 すぎもとたかよし)

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