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コラム&レビュー

新車心象風景:ダイハツ・ミラココア(本体編)

 
 え、コンテとか出したばっかりなのに、というような話はともかくとして。僕が思ったのは、女性にとって「ミニ」と「ラパン」そして「ココア」の間には深い溝があるのか否か、ということなんである。

 理由はハッキリ分からないけど、近頃“いいモノ”に敏感なのはどうも女性の方みたいで、ここ数年はとくにそう感じる。それはべつにお得意のファッションやグルメに限らず、映画や芝居、歌舞伎から寄席まで、「コレは」というものに出掛けると20〜40代くらいの女性ばっかりなんである。日本のある種の文化はこうした女性が支えている? と言ってもいいくらいだ。

 べつにクルマのマニアじゃないんだけど、ミニやフィアット500、あるいはプジョーなんかをサクッと買っちゃうのは、もしかしてそういうアンテナが効いてるんじゃないかと。思い起こせば、小学生の頃から女の子はずっと“おませ”だったけれど、いまだに男子が「男のロマン」とか「男の夢」とか言ってマニアックな狭い趣味に興じているなら、それはいまでも変わっていないのかもしれない。

 で、ミラ・ココアだ。


 好調スズキ・ラパンに対するダイハツの回答がこれらしい。正式な前身はミラ・ジーノだけど、実質的にはムーヴ・ラテと合体させた流行の箱ワゴンは、ジーノのミニ風から一転、今後はフィアット風の顔で登場し、これでルノー風のラパンと一騎打ちなんである。

 お茶目なTVのCMとは違い、カタログのイメージは「そら・空気・水」に「シンプルな生活」を前面に出した、いかにも現代女性の一面を切り取ったもの。これはそのまま“世界で一番お洒落な軽”のラパンに通じるのだろうし、価格の違いはあれ、もしかしてその延長上にミニや500がある、のか?


 
 いや、僕ら男性にしてみればミニとココアを一緒にするなという話だ。かたやBMWの設計にイタルデザインのエンジニアリング云々・・・の血統書付き、こなたミラベースのお手軽軽自動車なんだぞ。“いいもの”にアンテナ張ってるならそのくらい分かれよな、なんてね。

 けれども、先日郊外タイプのスタバ駐車場で、ローズピンクメタリックのボディにホワイトルーフの新しいラパンから、女性二人が颯爽と降りてくるのを見て「あ、いいナ」と思ってしまったんである。と思ったら、一部評論家からも「これは男性も買いだ!」なんてインプレッションが散見されるじゃないか。

 実際、一部男性ユーザーから指名買いもあると聞く。しかし、間違いなく女性用に練り込んで作った筈なの一体それはどういうこと? もしかしたら彼女たちがあと100万円か150万円を追加して500だのプジョー207あたりを買うのと、このラパンを買うのは基本的に同じなんじゃないか? どっちも“いいもの”なんじゃないか、と。

 それはつまりクルマ単体ということじゃなくて、クルマの使い方を含めたライフスタイルトータルでの話ではある。いや、そんなこと言ったらパッソ・ブーンだって同じじゃんってことなんだけど、そこは理屈じゃなくてね。

 で、何だかよく分からない話になって来たけど、先輩のラパンや追随するココアを“おバカクルマ”として斬って捨てるのには、どうも何かが引っかかるということなんである。

 ただし、これはあくまでベースモデルの話。それ以外のココアについては少々? な感じで、それはまた後日書きたいと思う。

(09/08/21 すぎもとたかよし)

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