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プリウスはいま買っても11月納車という、まさにハイブリッド人気真っ盛り。その雰囲気に乗ってか、今度は電気自動車の話題が出てき始めた、みたい。
当面の話題は近日デビューの三菱i-MiEVとスバルのプラグイン・ステラ。とくに泣かず飛ばずの三菱は、こいつを「起死回生」の起爆剤と位置づける自慢のEVなんである。
なんだけど、どうもなあ・・・。
走行中のCO2排出量がゼロ、高い加速性能、わずかな電気料金。そんなにいいものがいまだに普及してない理由はクルマ好きなら皆が知ってる。充電スタンドというインフラの未整備。短い走行距離。高額なお値段。そして進歩度合いの不確定要素。
たとえばi-MiEVは10/15モードで160kmだけど、走行条件次第では半分程度だって言われているし、ステラはもともと90kmしかない。フル充電は十数時間、急速充電でも30分かかるから、仮にスタンドができても「サッと寄って」というワケには行かない。そしてお値段は450万円超だ。
メーカーは、普通のユーザーの1日の走行距離は30〜40kmだからOKと言ってるけど、じゃあ今週末は温泉に行こうか・・・には対応できない。いや、これはシティコミューターだからと言うけど、じゃあ温泉用はもう1台買えってこと? それこそ普通のユーザーには無理だから当初は法人、自治体向けって話なんだと言われそうだけど、来年の春には市販化としっかり発表済みなんである。
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あ、いやいや、僕が今回言いたかったのはEVそれ自体じゃなくて、何でそういう状況なのにTV・新聞はこんなに騒ぐんだって話。それも、HV人気に乗っちゃった「こっちはもっとエコ」みたいなノリで。
そりゃ電気、電池ということでは「お友達」なんだけど、実際にはHVと EVは全然違う乗り物なんだという報道になってないでしょ。HVは電気を燃費に振ってるからガソリン満タンで1000kmに届くかって話だけど、EVは逆に普通のクルマの数分の一しか走らない。そういう意味でも“状況”としては逆なのに。
もちろん、これから数年経てばバッテリーの進化で走行距離は延びるだろうし、充電時間も短縮されると思う。もちろん価格も下がるだろうし。もしかしたら2,3年でフル充電5分、航続500km、お値段200万円なんてことになるかもしれないけど、とにかくいまは違うでしょ。
それに、そのバッテリーの進化度合いで同じ車種でも買って1年後には倍の航続距離、なんて妙なこともあり得るしね。日産がバッテリーをリースにするという話だけど、まあとにかくそのまま売りっ放しはマズイ雰囲気。
いままでと同じ感覚で乗れるHVとEVとは、とにかくそういう違いがある。EVのポテンシャルは高いし、デリバリーが始まること自体が素晴らしいという考え方もあるだろうけど、いまはまだ問題もあると。「パンパカパーン!」とお祭り的じゃなくて、何だかそういう冷静な報道があるべきなんじゃないかなあ。
雑誌的には今後発売になる号から載り始めるだろうけど、その論調に注目かな。やっぱりEV万歳、EVバラ色みたいになっちゃう? それとも専門誌としてもう少し高い視点を持つか?
そうだ、8月に発表(のみ)されるという日産のEVは5ドア・ファミリーカーという、従来のEVの既成概念をぶち壊すクルマだって話だけど、性能的な面でも圧倒的サプライズが用意されているのかな?
(09/06/06 すぎもとたかよし)
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