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商用車をオシャレに使いこなす。この辺はトヨタのタウン、ハイエースやプロボックスあたりの専売特許。
だったんだけど、インドネシア製の新しいタウン・ライトエースが「あれ?」っていうスタイルになっちゃったところに、NV200なんである。
ヒット中のセレナと同じデザイナーと言われるスタイリングは、そのセレナと対照的なアプローチでやって来た。即ち、端正なカタチを質感の高い面でまとめたセレナに対し、NV200はとにかくカッコよさそうな要素を何でも盛り込んじゃえ、と。
ダイハツが勢いで作った(ような)YRVを想起させるフロントだけでも実にシャープだけど、その先鋭なヘッドランプからフロントサイドウインドウにつながるライン、さらにその下をフロントバンパーから並んでサイドウインドウに駆け上がるもう一本のライン。まとまってるのかいないのか、もうよく分からないけど、えーい、ここは勢いこそが大事なんだ!と。
そして、リアスライドドア・レールに合わせたラインは、上記2本のラインとは逆に下へ向けてキュっと流される。唐突だとか言わせん、とにかくこれで上下方向のバランスをとってるんだ!と。そして立体感のあるリアランプはなぜかシャープじゃなくて丸っこいんだけど、とにかくフロントやリアに負けない個性を持つ。
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上下ニ段構成のコクピットは、色分けされた素材の組み合わせが立体的で、思い切り手前に張り出したシフト操作部とともに、これもまた大胆。開閉式のエアベントに合わせた左右両端のドリンクホルダーも大きなポイントだし、汎用のステアリングは巧いこと先進性を感じさせる。
これ、たぶん多くの人が先代のADバン=ウィングロードを思い出したんじゃないかな。あのマイナーチェンジ後のやつね。つまり、カッコのつけ方が超古典的でとても分かりやすい。欧州風とが現代的とか、そういう気取ったやり方じゃなくて、「ロケット・新幹線=カッコいい」という20世紀ニッポンのベタなカッコよさ。
おそらくADバンと一緒で、商用車だからこそここまでできた気がする。ま、どうせ仕事でガシガシ使われる実用車だし、大して注目もされてないんだから、あまり気を使わないでやりたいことやっちゃえって感じで。もちろん、輸出されればこの程度の個性はいい方に働くしね。エンジンも次期ティーダに使われそうな新型1.6リッターを積んじゃったりとか、積極的。
例によってワゴンタイプが設定されているので、冒頭のようにオシャレに使う“仕事以外”のユーザーも結構買うんじゃないかと思う。写真のグリーンの他、レッドも用意されてるし。んで仕事の方も、このスタイルに負けない感じのステッカーやら塗装を施して欲しいよね。
「子供っぽい!」という意見もあるかと思うけど、変に凝っていまのADバンみたいな悲惨なことになるんだったら、こういうカッコつけ方は「アリ」なんじゃないかな? そんでもって、評判がいいなら次期セレナの参考にしよう、なんてね。
(09/05/31 すぎもとたかよし)
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