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■クルマのまわりで「TVはどうなっているの?

はじめに
 クルマ関連のメディアは雑誌がメインだ。
 出版不況に伴うかたちで年々その発行部数は落ちているというけれど、雑誌の種類だけは増えているんじゃないかと思えたりする。実際、制作から販売までを考えれば、コストや伝達情報量から見ても、雑誌がメインというのは妥当な状況だろうと思う。
 けれども、一方でいまやメディアの王たるTVに、クルマ関連の番組がこんなにも少ないのはなぜだろう。ついでに言えば、その中で地に足のついた番組となると、もう本当に一握りだというのはどうしてなんだろう。

唯一真面目なのは
 いま、僕の住む東京やその近県で観ることのできるクルマ関連番組は、モータースポーツ関連を除けば、TV神奈川の「新車情報」とTV東京の「三軒茶屋モータリングクラブ」、日本テレビの「BOON!」くらいのものだ。そう、たったのみっつなんである。少し前まではこれに同じTV東京の「モーターランド」やテレビ朝日の「カーグラフィックTV」といった番組があったけれど、いまは終了したり休止状態だったりする。他にもBSデジタルなどで旅紀行とクルマの宣伝を兼ねたような番組があるけれど、これはいわゆるクルマ番組とは言えない内容だ。

 新車情報は地元(地方)局の制作だけど、三本和彦氏を起用したこの番組は例外的に随分と「真面目」な作りになっている。もうかなり長い間放送しているけれど、45分間の番組構成はほとんど変わることがないし、三本氏の実用性を重んじた進行内容もまた不動だ。あんまりにも実用に徹するあまり、もうちょっと趣味性があってもいいんじゃなかなどと思ったりするけれど、これはこれでアリだと思う。
 じゃあ、他はどうだ。



全滅?
 三軒茶屋モータリングクラブは全く対照的で、ほとんど趣味の世界で作られたような番組だ。それはこの番組の企画の元であるインターネットサイトが元々趣味的要素に溢れていることもあるし、メインパーソナリティの吉田匠氏も根っからのエンスーだからという理由もあると思う。
 けれども、残念ながらこの番組はその趣味性がうまく生かされてはいない。なぜなら、どういうワケかこの番組は、クルマのことにほとんど無知な女性アシスタント(タレント)にその目線を合わせた番組作りがされていて、これが何とも中途半端な内容になってしまっている。で、どうしてそんなことをする必要があるのかサッパリ分からないんである。いまは休止状況だけど、同じように趣味性を強調していた「カーグラフィックTV」が、その姿勢を一貫させていたのを思い出すと、この三軒茶屋モータリングクラブは何とも子供じみた演出だ。
 先に挙げた「モーターランド」は、若者向けの走り志向雑誌をそのままTVにした実に安直な番組だったけれど、こういうのを見せられると、この局のクルマ担当ディレクターに問題があるのじゃないかと疑ってしまう。

 もうひとつの「BOON!」はさらにクーダラナイ。この番組はCARTのシーズンにはそれをメインに扱っているけれど、シーズンオフと来たらホントどうでもいい企画ばかりを打ち出している。そもそもクルマ番組の司会に、それほどクルマと関係があるとは思えないタレントを起用すること自体が妙だ。最近のTV番組はその大半が「笑い」を取るものになってしまったけれど、どうしてクルマ番組まで次元の低い笑いを取らなくちゃいけないのだろう?
 そういえば、少し前までタレントの所ジョージが趣味のカスタムカーを扱う番組があったっけ。べつにここで彼の趣味にケチをつけるつもりはないけれど、あの番組も基本的に「笑い」を取るものだった記憶がある。そんなに一時の笑いが重要なのか?
 まずもって、この自動車大国ニッポンにおいて、こんなにもクルマ番組が少ないのが僕には信じられない。自動車メーカーがメインスポンサーであるドラマやバラエティは山ほどあるというのに、だ。
 で、その中でも地に足のついた番組となると、もうほとんど絶望的な状況というのは何とも情けないじゃないか。趣味的なものでもいい。あるいはニュース的なものでもいい。この国はとんでもなくたくさんのクルマを作って、同時にたくさんの評論家やジャーナリストがいるんである。せめてキー局に1本ずつくらい、マトモなクルマ番組があったってバチは当たらないと思うのだけど。  

(02/02/17 すぎもとたかよし)

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