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コラム&レビュー

新車心象風景:トヨタ・マークXジオ

 
 ジオの眼目はトヨタの新しいデザインフィロソフィ「VIBRANT CLARITY」を具現化させたエクステリア。最近の新車もすでに「VIBRANT CLARITY」を謳っていたけれど、2年前の東京モーターショウに飾られていた「FSC」こそがその源流なんである。


 リアランプからヘッドライトを通り過ぎ、何とフロントバンパー下のフォグランプまで続くキャラクターライン、大きく膨らんだフロントフェンダー、滑らかなU字を描いて凹んでいて、水の流れのような表情を見せるボンネット。

 トヨタが訴えるように、タテとヨコのラインが交錯し、そこに「活き活き、明快」というテーマが現れているということなんだと思う。ほとんどオデッセイなんだけど、トヨタがこれまでになかった造形美と自負するのは、そのテーマ性を全開させているからなんだろう。


 
 ただ、レクサスのL-フィネスがそうであるように、トヨタブランドの「VIBRANT CLARITY」も結構分かりにくいのが難点だ。L-フィネスが「先鋭」とか「清妙」とか言われると、ああ何となくそうなのか、と思わせるのと一緒で、タテとヨコ、硬と軟なんていう説明があって初めて、ふうん、なるほどねえ、と思わせるような分かりにくさ。

 これは、たとえばクリス・バングルのエッジの効いたBMWとか、シングルフレームの新しいアウディなんかが、とくにアレコレ説明しなくても一貫したデザイン言語を感じさせるのと正反対の話なんである。

 トヨタの場合、新しいカローラやアリオン、ベルタ、カムリあたりが皆同じような処理をしているのを「VIBRANT CLARITY」ですと言ってくれれば分かりやすいんだけど、ジオを見る限りそういうことでもないらしいから、何だか余計にワケがわからないのが残念なんである。

(07/10/04 すぎもとたかよし)

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