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●「グレード・車型削減に診る、日産復興」

 日産の2000年9月中間期の連結営業利益は、前年同期比2.3倍の1366億円と、バブル期を上回り過去10年間で最高となった。
 一昨年のリバイバルプラン発表時に「1年間で黒字化できなければ日産を去る」と公言したカルロス・ゴーン社長は、記者会見で赫赫たる戦果を誇らかに語り、その表情は自信に満ち溢れていた。

 利益の大部分は、「コストカッター」の異名どおり、氏の強烈なリーダーシップのもと、部品購買費1400億、販売費300億、一般管理費200億などダイナミックなコスト削減とリストラとによってもたらされたものである。
 一方、それ故に氏の力量や業績回復に対しては、「コスト削減だけの縮小均衡策」「部品メーカーが疲弊し、技術力が低下するのでは」といった批判も根強く、私もこうした見方に組する気持ちの方が幾分勝っていた。

 昨秋来、日産が発売した新型車は、グレード・車型が旧型車に比べこぞって大幅に削減されている。

 ・マーチ   (00/10、Mc) 28 → 20車型
 ・サニー   (00/10、Mc) 35 → 23
 ・シーマ   (01/ 1、Fmc) 13 → 6
 ・セフィーロ (01/ 1、Mc) 17 → 5
 ・プリメーラ (01/ 1、Fmc) 16 → 3
 ・同 ワゴン (01/ 1、Fmc) 12 → 5
  Mc:マイナーチェンジ Fmc:モデルチェンジ

 ご存知のように、車型は、搭載エンジン、駆動方式、トランスミッション、ドア数、乗車定員・シート形状等で構成され、これに各種装備を組み合わせたものがグレードである。
 一般に、最小限の装備に絞った“廉価”グレード、ポピュラーな“量販”グレード、高級装備を満載した“上級”グレード、そしてスポーティ仕様の“スポーツ”グレードから構成される。
 シンプルでわかり易いグレード・車型体系は、商品力の重要な構成要素の一つであり、魅力ある商品づくりに欠かせない。

 かつて、私も商品企画担当者としてこの業務を担当した。工販合併直後の当時も、ユーザーニーズという美名のもとに、どの車種も膨大な数の車型を抱えていた。部品毎の一銭、一円単位のコストダウンと併せ、原価低減に直結する車型削減が経営課題となっていた。
 設計、購買、生産部門など全社をあげて取り組んだにもかかわらず、大きな成果はあがらなかった。販売部門の抵抗が極めて強いからである。年間数十台しか売れない車型の多くが他で代替できるにもかかわらず、どこそこのタクシー会社や企業など、それが無いと他社に取られてしまうなどといった理由で削減できなかった。兄弟車の場合はチャネル間の利害も錯綜した。

 トヨタの奥田会長は、「あれだけドラスチックなことは日本人経営者には難しい。従業員の生活や部品メーカーの経営者の顔が頭に浮かんでしまう。ゴーン氏はしがらみが無いのでできるのだろう」と語ったという。

 セフィーロやプリメーラなど、一連のグレード・車型削減はコスト低減だけでなく、シンプルでわかり易い商品という成果も生み出したように思う。
 優れた商品こそがブランドイメージを向上させ、売上を伸ばし、マーケティングの効率化にもつながる。

 日産の復興は、どうやら本物のようである。

(01/02/08 わたなべあさお)

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