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●「ペールローズとスーパーホワイト」

 近隣の駐車場に、ローズ色の「ヴィッツ」とブルーの「ロードスター」が並んで止まっている。見飽きた白やシルバーには、新型車といえども大した感慨は沸かないが、両車は何時見ても新鮮である。
 ローズが似合うヴィッツと、ブルーが似合うロードスター。最近なるほどと思うニュースに接した。

 日本流行色協会(JAFCA)が主催する「オートカラーアウォード2001」のグランプリに、ロードスターの「クリスタルブルーメタリック」が選ばれた。
 選定理由は、「美しく透明感のあるブルーの色調は、ファッションのトレンドに即している」「爽やかで、上品で、行動的なイメージを持ち、未来に明るい希望を抱きたい新世紀に相応しい色」とのこと。

 同賞は、国内で発売された車のなかから、審美性、企画性、社会性等を総合審査し、最も優れたカラーデザインに授与される。
 昨年は、ヴィッツの「ペールローズメタリックオパール」が、一昨年は、ハリアーの「スパークリングゴールドメタリック」が選ばれている。

 グランプリの他、ファッションカラー賞には、ハイパーミニ(日産)の「イエロイッシュグリーン」が、審査員特別賞には、レガシィB4ブリッツェンの「プレミアムレッド」が選ばれた。

 ソアラやマークUが「ハイソカー」と呼ばれ、多くのクルマが上級・高級を志向した80年代。ボディカラーの8割近くを「白」一色が占めるという、異常現象が現出した。
 それは、無彩色に適った我国の風土や、画一的で没個性的な国民性も大きな要因であったが、メーカーと販売店が巧みに煽った結果でもあった。
 未熟なクルマ社会を象徴する自動車産業史の一コマである。

 クルマのカラーは、ソリッド系(白、赤など)、メタリック系(シルバー、ブルーなど)、パール系(パールマイカなど)に大別される。
  一般にソリッド系とメタリック系はどの色を選んでも価格は同じ。パール系のみ2万円程度価格がアップする。
 新車の塗装は通常、下塗り、中塗り、上塗りの工程で行われる。3コート(塗装)3ベーク(焼付け)というように、ソリッド系の場合各工程は1回で済む。
 メタリック系やパール系は、工程を追加したりクリアーをかけるなど(4コート4ベーク等)、製造コストはソリッド系より数千円以上アップする。塗料のコストも高い。

 販売価格が同じであるから、メーカーにとっては、メタリック系より「コストが小さい=利益が大きい」ソリッド系が売れた方が儲かる。
 デザイナーや塗料メーカーがいくら魅力的な色を企画・開発しようとも、自ずと白を優先する。

 トヨタは、新開発された限りなく純白に近い「スーパーホワイト」を、高級車にのみ採用した。コストは従来の白とほとんど変わりなかった。
 スーパーホワイト=高級車のイメージ戦略は大成功、マークUは大ヒット、ライバルの日産ローレルに大きな差をつけ、トヨタのドル箱となった。

 販売店もまた、狭いショールームに白しか展示せず(色物は実車が見れない)、白以外の在庫は持たなかった(色物は納期がかかる)。中古車市場も白一色となり、下取り価格も白と色物で10万円程度差がついた。

 一色集中は、受注・生産・在庫管理も容易である。メーカー、販売店とも笑いが止まらなかった時代である。

 バブルが弾けた90年代。市場は、RVやミニバン、軽・コンパクトカー中心へと様変わりした。
 一方、魅力的な新色が続々と登場したにもかかわらず、ボディカラーは相変わらず白やシルバーなど無彩色が8割以上を占める。「色物」は2割に満たない。ヴィッツでさえ、シルバーが半数を占めるという。
 様々な色が満遍なく売れる欧米とは違い、ユーザーが好きな色を自発的に選び、カーライフを楽しむというには程遠い状況である。

 ネット革命真っ只中の新世紀。「色物」比率が、我国のクルマ社会成熟度を 占うバロメーターのような気がする。

(01/02/22 わたなべあさお)

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