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●「○○ソリオ」と「グランド××」 

 スズキが、ワゴンRベースのコンパクトカー「ワゴンR プラス」と、小型オフロード車の老舗「エスクード」をマイナーチェンジした。
 「ワゴンR プラス」は、それまでの1000ccエンジンに加え、新たに1300ccエンジン搭載車が新設定され、名称も「ワゴンR ソリオ」に改称された。
  エスクードには、ボディサーズを拡大し、スズキ最大の2700ccエンジンを搭載した上級車種「グランドエスクード」がラインアップに加わった。

 「ソリオ(SOLIO)」とは、玉座・王権を意味するスペイン語。これまでの“プラス”というネーミングは、「ジムニーワイド」や「トッポBJワイド」の“ワイド”のように、軽自動車ベースの派生車種的イメージで名づけられていた。
 「ソリオ」への変更は、好調なコンパクトカー市場でトヨタのヴィッツ兄弟に対抗したいという、スズキの意図が強く感じられる。9月から提携先の米ゼネラル・モーターズの国内サターン系列店向けに、OEM供給し始めたこととも無縁ではないだろう。

 一方、「グランド(GRAND)」は、雄大な、壮大な、威厳のある等を意味する英語。トヨタの「グランドハイエース」や「グランビア」、日産の「エルグランド」等のネーミングもこれに由来する。
 小型オフロード車の先駆として市場をリードした「エスクード」だが、昨今はトヨタ「RAV4」やホンダ「CR-V」、スバル「フォレスター」等に押され、低迷を続けている。
  「グランドエスクード」投入により、「エスクード」全体のイメージアップを図り巻き返しを狙う。

 ネーミングには、商品コンセプトや、ラインアップ上の位置付け・重要度、マーケティング戦略等が凝縮されている。多くの場合、その決定権者は企業トップであり、ネーミング業務は商品企画担当者のメイン業務の一つである。
 かつて私が担当した「セルシオ」では、数千もの候補がリストアップされ、私も英語はもちろん、フランス語、ラテン語等各国語の辞書や、動植物図鑑、天文・星座図鑑等を片っ端からめくり、数百を提案したものである。
 その後発売されたトヨタの新型車には、この候補案の中からいくつかが採用されている。セルシオの対抗案として最後に残った「マジェスタ」や「エスティマ」などがその代表である。

 シリーズの最上級車種として、期待を込めて投入された「ワゴンR ソリオ」と「グランドエスクード」。両車に対するスズキの思い入れや、戦略上の位置付けが、そのネーミングによって推察できる。
 他社の物まねに過ぎない枕言葉を安易に付けただけの「エスクード」。いずれ独立ブランドとして育てていくつもりであろう「ソリオ」。

 今回のよもやま話は、ネーミング業務の思い出とともに感じたことを記してみた。「セルシオ」決定に際してのエピソードについては、後日紹介することとしよう。

(2000/12/19 わたなべあさお)

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