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コラム&レビュー

クルマのまわりで:海外ショー、デザイン雑感(その2)

 
 海外モーターショーが花盛り。ということで、その中から国産メーカー出展車のデザインチェック。今回は上海モーターショー2019から3台を。

 レクサス最大のSUVとされるLMは「これ、アルファードじゃん」と、ネットを中心に結構な話題になっている。まあ、どう見てもその通りで、中国中心の海外市場なら問題ないだろうというお手軽企画だ。


 と、そんなお気楽さではあるんだけど、デザインの話としてはそうも言ってられない。そもそも、レクサス・デザインとは一体何だったか? 「先鋭と清妙の美」「L-finesse」。カーデザインをアートの領域まで高める。そう掲げたのは他でもない、トヨタ自身だ。

 その当人がグリルを無理矢理スピンドルに変え、ピラーとリアランプに「それっぽい」メッキパーツをガンガン張り付けて「はい、レクサス一丁上がり」とするのは、まさにデザインの放棄。レクサスなんて、カーデザインなんてこんなモンさと。まあ、何て悲しい仕事なんだろう。

 ホンダのEV専用車であるX-NVコンセプトは、このカタチで何を示したかったんだろう?


 すでに「Honda e」を発表しているタイミングで、現行世代代表のヴェゼルと日産リーフを足して2で割ったようなこのスタイルの意図は? もしかして、中国ではこういうシュッとしたボディがウケるからなのか、あるいは今後もホンダはこっち系のデザインを継続するということなのか。

 
 ただ、仮に現行タイプを続けるにしても、ここまで工夫のないスタイリングはあんまりじゃないか? 地元の新興メーカーみたいにやたら派手にすればいいとは思わないけど、EVとしての新提案はもちろん、覇気も色気もまったく感じないんである。

 日産シルフィは、前回のヴァーサの上級版。例によって日産の最新デザイン要素が全部盛り込まれたセダン。


 ただ、そもそも基本がシャープ指向だから、よりサイズの大きいシルフィの方が無理がなくまとまりもいい。Vモーションに寸詰まり感はないし、前後のブリスター風フェンダーもすっきりしている。

 けれども、繰り返し書くけれど、じゃあ果たしてこの日産の最新セダンは個性的で美しいと言えるのだろうか? たしかに各部はエッジがきいてシャープだし、凝った面の造作も素晴らしいのは間違いないんだけど。

 ヴァーサに対するティーダのように、初代シルフィのようなシンプルな優雅さや、あるいは初代ティアナのような独自のエレガントさなど、豊かな含みに満ちた存在感や独自性が感じられないのは、一体どうしてなんだろう?

 デザインの進歩、進化って何なのか? あらためて難しいなあと思うんである。

(19/04/29 すぎもとたかよし)

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