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「オートモビル カウンシル2019」では、国産各メーカーのブースを取材して記事を掲載した。そこで感じたのは、メーカーの自社商品もしくはクルマというもの自体についての認識の違いなんである。
これはオートサロンでも感じたことなんだけれど、近年でいちばんシックリ来るのはマツダのブースだ。今回はロードスターがテーマだったけれど、単に初代から現行型までを並べるだけじゃなく、そこにストーリーを持たせた展示になっている。
さらに、当時の開発者のトークショーを行うなど、そのストーリーをより立体的にする企画も準備されている。もっと言えば、展示された最新型はロードスターの30年周年仕様という念の入れようだ。つまり、このブースで何を訴えたいのかが明快なんである。
一方、6台もの80年代車を並べたトヨタは「デートカー」「ハイソカー」「スポーツカー」という括りで車種をチョイスしたという。けれども、じゃあそれで何が言いたいのか、いまの時代に何を伝えたいのかが分からない。単に「懐かしいネ」しかない。
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日産はGT-RとフェアレディZの50周年をテーマとしたけれど、前者が1969年の3代目と現行型、後者が初代と89年のZ32の2台ずつを並べただけで、その意図は不明だった。もちろん、各々は名車だったかもしれないけど、じゃあその50年は何だったのかという仕掛けは見当たらない。
オートモビルカウンシルは、新旧のクルマの展示による自動車文化の創出を掲げている。であれば、80年代のクルマを並べた意味は何なのか、そこから何を発信したいのかを明確にしなければ目的には達しないだろう。
その点、たとえば80〜90年代の自社商品をメーカー品質でレストアするボルボのクラシックガレージなどは、マツダとはまた違った視点での明快な文化の発信に思える。
トヨタの担当者は、いまどきの若者が80年代車に惹かれる不思議さを語っていたけれど、じゃあその魅力とは一体何なのか?正解は難しいにしろ、少なくともメーカーなりの「回答」をテーマとして打ち出して欲しかったんである。
(19/04/14 すぎもとたかよし)
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