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意外に素直だったなあ、と思う。
シエンタについては発表時にここにも書いたけれど、当初から好感は持っていたんである。それは、久々にトヨタらしい佳作だったから。
つまり、とんでもなく革新的とか高級感があるとか、想像を超えた・・・みたいな話じゃなく、普通のユーザーのちょっとだけ先を行った「カッコよさ」と「先進性」を感じさせる巧みさがあったからなんである。
とくに、80年代から90年代初めにかけての商品展開はこの「巧さ」が光っていて、日産をはじめ他メーカーが右往左往する中、見事にニッポンのユーザーの中心部分を掴んだと。一方、カムリだクラウンだと抑制を欠いた攻撃スタイルに邁進する現在のトヨタの中にあって、シエンタのカジュアルさは肩の力の抜け具合が気持ちいい。
だから、マイナーチェンジではどうなっちゃうんだろうと若干心配だったんである。ヴィッツやカローラのマイナーチェンジのように、「これでもか」の大爆発方向だったら残念だなあと。ところが、これが意外にまともだった。
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フロントランプから下るブラックパーツのラインは、もともと下端でグリルとつながっていたけど、ここを離したのが意外。初期型も他車のような無理やり感はまったくなく、逆にこれがシエンタの特徴になっていたけれど、離してもそれ程のバランス欠如はなさそう。少なくとも、ここをもっと派手に、なんてことじゃなくてよかったと。
また、リアドア下のアクセントやリアパネルについては大きな変更はなく、そこもよかった。フロントの変更でそれなりの表情の変化は出せているので、無理にあちこちを変える必要はないので。
唯一「おや?」となったのが、ルーフとのツートンカラーだ。まあ、企画自体は流行だから仕方がないのかなと思うけれど、リアピラーで塗り分けをしたのはいかにも中途半端だ。2色であることをアピールしたいとか、あるいはピラーをブラックで伸びやかさを、なんて意向は分からなくもないけれど、ここはルーフ部分で収めるべきだったと思う。
とまあ、その程度の疑問というのは、最近のトヨタ車では本当に珍しいんである。よっぽど開発主査の狙いが明快なんだろうか?
(18/09/16 すぎもとたかよし)
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