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コラム&レビュー

新車心象風景:アルファロメオ・ジュリア

 
 どうも、いまひとつピンとこないんである。

 ジュリアの国内発表がメディアで取り上げられている。多少の違いはあれどその扱いはどこも熱く、とりわけA4判エンスー系雑誌ではご丁寧に「お待たせしました!」なんて表現もあったりする。


 みなさん、そんなにアルファを待っていたとは。

 前にも書いたことがあるけど、クルマ好き=ポルシェ好き、アルファ好きという、半ば公式めいた話は一体どこから来るのか、常々不思議に思っているんである。

 いや、もちろん輝かしい歴史や伝統を持つメーカーではあるけれど、それは他のメーカーにも多かれ少なかれあるわけだし、必ずしも皆がスポーティさを求めているわけじゃないだろう。

 そもそもこのジュリア、スタイルの初見からして拍子抜けだった。何せ、どう見ても近年のBMWそっくりだし、全体のキレもない。伝家の宝刀、盾型グリルをもってしてもほとんど個性を感じない。

 ある老舗雑誌では「最初はアレ?と思ったけど、じっくり見ているうちによさがわかってきた」なんて記事も。何でそこまで頑張って肯定しないといけないのか、もはや滑稽でもある。

 そして、このクルマから新世代ラインナップを揃えるというアルファだけど、その狙いがどこにあるのか、少なくともこのジュリアから想像するのは難しい。


 
 たとえばフェラーリ由来のエンジンは、F1譲りの最新ハイブリッドシステムを持っているわけじゃないし、レースマシンのような超軽量化も見られない。ミッションや足まわりにも特段新提案は見あたらないし、デザインもしかり。

 いや、それじゃダメだということじゃなく、少なくとも大々的に絶賛する必然性が感じられないということだ。もちろん、いまさらFR云々ということでもないだろうし。

 こうした露骨な贔屓目はフェラーリやシトロエンなんかでも垣間見られるけれど、書く方も読む方も「お約束」で盛り上がる様は、奇妙と言うよりもはや空々しくもある。

 ところで、アルファは今後数年で7、8車種を投入するそうだけど、じゃあ、そこでどんな展開をすれば本当の「いいね」を獲得できるだろう?僕個人としては、最新技術はもとより、より幅広いユーザーを意識した実用重視のラインナップが面白いと思う。

 ジュリアと発表済みの大型SUVを別とすれば、対VWポロクラスの5ドアハッチ、アウディQ2クラスSUV、メルセデスCLA〜Cクラスのセダンとワゴン、ミニ対応のプレミアムコンパクト、ロードスターRFベースのオープンなど、相当な王道で。

 つまり、ミト、ジュリエッタ、4Cのように散らかった感じじゃなく、圧倒的に魅力のあるスタイルや走りを、ごくふつうの車型に投下すると。で、そこに一本軸のとおった独自のコンセプトを明快に打ち出す。

 そうすれば、新世代としての評価自体はもちろん、それを多くのユーザーから得られると思うんだけど、どうだろう? いや、それこそコアなファンは、そんな展開を望んでないと思うけれど。

(17/11/27 すぎもとたかよし)


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