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何だか、とても白々しい気になるんである。
日産は先日、スカイラインの誕生60周年を記念したイベントを開催した。六本木ヒルズの特別会場をはじめとし、本社や銀座のギャラリーに歴代車を展示しての催しだ。
メーカーが自ら歴代の商品をリスペクトすることは決して後ろ向きの姿勢じゃなく、むしろ、常にそうした気持ちを持って日々開発に当たることが大切であるとも言えるんである。
だから、ゴーン氏を招いてV字回復を果たしつつある日産が、TVCFにフェアレディなどの歴代車を登場させたときは、日本でもこんな見せ方をするメーカーが現れたのかと感心したもんである。
けれども、当時の秀逸なラインナップがモデルチェンジ毎に妙な感じになり、やがてグローバル化の名の下に日本市場から「ちゃんとした」モデルが次々に消えていった経緯はご存じのとおり。
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あのクルマは北米用を使い、こっちは新興国用と共用し、そっちは中国向けを使えばいいでしょなどと、単なる商売上の合理化が国際感覚溢れる日産のグローバル路線らしく。それでもって国内シェアが1割を切っても、まあ世界総生産でプラスになればいいじゃんと。
こうなると、歴代車がどうのこうのと語ったところで、かつてのように純粋な感銘は湧き出てこない。ロクな商品も揃えずじり貧になった市場には、まあ一丁こんなイベントで懐かしさを喚起して、あわよくば当世代のユーザーの財布の紐を緩めようかという、実にあざとい企画としか思えない。
もともと、国内でまともに売れるのはノートとセレナだけという状況下、そのノートがe-POWERで販売を伸ばしたからといって、これで日産もいよいよ国内市場充実、みたいな短絡的報道が行き交う中だけに、なおのこと虚しさを感じてしまう。
本当に歴代商品を敬うなら、メルセデスやボルボのように旧いクルマをリフレッシュするようなプログラムでもやってみればいいと思う。人気のR32の一部パーツを再供給するとか、そういう狭い発想じゃなく。
ずっと小さなマツダでさえ、初代ロードスターのレストア車を売るっていうんだから。
(17/04/30 すぎもとたかよし)
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