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コラム&レビュー

自動車雑誌を斬る!:老舗の役割って?

 
 いつからこんな具合になってしまったんだろう?

 いま売りの雑誌『CG』。「本当の燃費」という特集は、三菱やスズキの不正問題を機にしたそう。いくつかのグループに分け、数台の内外現行車種の実燃費を計ってみようというものなんだけど、これが何とも中途半端なんである。

 そもそも、仮にJC08モードに対する実燃費の剥離なんて視点であれば、何をいまさらという話だ。そんなものは三菱などの話がなくたって「突っ込み」が必須であるのは、CGという雑誌の性格を考えればずっと以前からの懸案だろう。

 で、軽自動車3台の比較では、これまたいまさら「高速はエンジン負担が大きく走るのが苦」、背高ワゴン2台では「高速でフラフラする」などと報告している。テーマは燃費だけど、そんなクルマが最新車として売られているのなら、燃費以前の問題としてしっかり指摘しなくちゃいけない。

 また、トヨタのHV車3台の比較では、クラウンやシエンタなどでクルマの出来に差があるとしても、燃費自体は納得できるだろうと結論する。たしかにHVらしく絶対値は悪くないけど、しかし、それは相変わらずモード燃費の7割程度のもの。それを簡単に「納得」などと言うなら、そもそもこの特集は何だという話だ。

 さらに、後半に取り上げたのはフェラーリ、ロールスロイス、ベントレー、キャデラックと、なぜか高級車のオンパレード。しかも、燃費への言及は少なく「やっぱりこのクルマは素晴らしい」などと書いているから、もうワケがわからない。

 そして、特集はこの高級車インプレッションでもってプッツリ終わる。きっかけとなった不正問題を独自に振り返ることもなく、あるいは試乗結果を分析するでもなく、だ。

 最近、CG誌の特集意図が不明瞭だったり、あるいは高級スポーツカー、スーパーカー偏重になっているのは気になっていたけれど、今号のそれもかなり酷い。


 
 僕は特段この雑誌に恨みはないけれど、こういう疑問を強く持つのは、やっぱり「自動車版の暮らしの手帖」を標榜した冊子であったからで、僕もそこに大いに賛同していたんである。

 朝ドラの「とと姉ちゃん」は誇張気味としても、暮らしの手帖が高い志をもって創刊、多くの読者に支持されてきたのは事実だ。そしてCG誌もまた、クルマの情報が少ない時代に期待される客観的事実を伝えてきた。

 時代が進み、情報が氾濫する現代であれば、老舗であっても扱う内容はアップデートされて当然だろう。あらゆる世界の”老舗”はこの課題にぶつかるわけだけど、成功例で共通するのは、やっぱり当初の基本理念に立ち返ることを忘れなかった場合がほとんどなんである。

 逆に言えば、ブレがなければ新しいものを扱っても単なる一過性の流行に陥らないと。

 単に実燃費数値を並べるのであれば、いまどきどの雑誌でもやっている。じゃあ2016年のいま、本当にユーザーの役に立つ情報とはいったい何なのか。

 モード燃費と剥離する理由を整理し、所管官庁へ意見を示すのはもちろん、メーカー側の姿勢を正すくらいは当然。もし、燃費優先で他の性能が犠牲になっている例があれば、徹底的に読者へ示すのも必要だろう。

 また、新しく導入される国際基準については、その正当性を検証することも特段難しくはない。同時に、欧州など自動車先進国の取り組みを紹介するのだって有意義だし、読者にとっての有益な情報を考えればやることはいくらでもある筈で。

 いや、二玄社を離れたCGはかつてのCGとはまったく違う、いまや老舗という認識はなく勝手に期待されても困る、ということなら仕方がないんだけど。

(16/07/19 すぎもとたかよし)

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