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コラム&レビュー

クルマのまわりで:フランクフルト雑感

 
 ネットからの情報だけだけど、フランクフルトショーの雑感など。

 新しいプリウスは、プラットホームの更新と同時にスタイルの考え方も大きく変わったように見える。


 いや、パッと見は2、3代目と同じ方向なんだけど、これまで比較的端正にまとめてきたところを、やや情緒方向に振ってきた。

 たとえば、現行のシャープなサイドラインはすっかり緩くなり、新たにリアドアから引いたもう一本のラインも微妙にカーブを描いて安定感がない。もちろん、途中でボディ色を消したリアピラーも、延ばしたラインが途中で消えるAピラー下端もそうだ。

 このあたり、要素が増えたフロントとのバランスもあるんだろうけど、4代目としての特徴を持たせるという点では少々安易に思えてしまう。現行まで3代、それぞれが持っていたバランス感覚がなくなったのが残念なんである。

 240Zをモチーフにしたという日産グリップスは、なるほどサイドグラフィックやリアパネルにその面影が強いし、ボディカラーもまた分かりやすい。


 なぜいま240Zなのかは?だけど、スタイル自体はこのところのスポーツセダンコンセプトやスウェイと同様のテーマで一貫していると言える。もちろん、これが次期ジュークであってもおかくしくはないし。

 
 ただ前にも書いたけれど、こうして大々的にブチ上げるデザインテーマが、実際の商品とリンクして見えないのが気になる。たしかにVシェイプなど部分的な展開はあるにしても、いまだ日産全体の商品群とは乖離したままだ。

 イヤイヤそれは今後のお楽しみ、なんてことかもしれないけど、それにしても商品作りの方向性を示すやり方としてうまくいっているとは思えない。まあ、とりわけ日本市場は戦略の対象外なのかもしれないけど。

 マツダはロードスターで新商品群が揃ったようなことが言われていたけど、KOERUは上級SUVとして一連の流れにあるように見える。


 たしかにシグネチャーウィングは新たな表情に進化しているし、ブラックアウトしたAピラーも新鮮だけど、ソウルレッドのボディは基本SHINARIの延長という点でこれまでと同じだ。

 じゃあ何が「越える」のかといえば、たぶんこのセグメントのSUVとして新しい存在感を示したということなんだと思う。

 実際、よく見るとKOERUはポルシェ・マカンやBMWのX6あたりと張り合うべく、まったく新しいプロポーションを持っているけれど、それでいていまのマツダらしさも表現できている点が面白い。

 それにしても、こうなってくると、いよいよSHINARIの次に来るコンセプトカーに興味が沸いて来るんである。

(15/09/18 すぎもとたかよし)

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