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コラム&レビュー

新車心象風景:ホンダ・S660

 
 何かこうひとつ、どうもスッキリしないんである。


 S660は、一般紙の記事を賑わすほどの注目作である一方、プロトタイプを試したジャーナリストの声は、当初から絶賛一色というわけでもないところが興味深い。

 いわば遊びの延長上に楽しい走りを見据えたビートに対し、本格的スポーツカーを目指してしまった企画はいかがなものか。逆に、あまりにビートをなぞった企画は常に新しい発想を追いかけるホンダらしくない。そして、この高価な2シーター・スポーツの販売が息切れするのは案外早いのではないか、など。

 本格スポーツ云々は、実はそれほどユーザーへの影響はないと僕は思っている。非力なエンジンを当時最先端のインジェクションで引っ張ったのも、あるいは最新のスムーズなターボエンジンで加速するのも、スポーティな運転という広い括りでわりと無理なく拾えるんじゃないかと。

 いや、「ミッドシップ・アミューズメント」というアプローチこそが外せないという諸兄は、それはビートのみに与えられた奇跡と認識し、早々に程度のいいタマを確保するしかないんである。

 ビートをなぞった件は結構面白い。ご存じのようにホンダは、たとえば若干26歳で大抜擢されたLPL自身がビートの後継を作ったつもりはなかったと言うし、S660の原型であるEVーSTARのデザイナー氏もまた、ビートを意識したものじゃないと語っている。

 まあ、でもこれはビートでしょう。ターボだろうがタルガトップだろうが、どうひっくり返って見てもビート後継という以外の表現はあり得ない。「でもしか話」はアレだけど、ビートがなかったらS660がこの姿カタチであったかというと、ちょっとね。


 
 いや、そうじゃなくてこれは「ホンダスポーツ」なんだという声高な主張は、若い世代の本音が盛り込まれつつも、実はこのクルマの微妙に曖昧な感じを生んでいる気がするんである。

 そして、意外と早い息切れは僕も同感だ。それはビートがいまに語り継がれる傑作であっても、実は爆発的な販売数というわけじゃなかったのと同じで、2シーターのオープンボディという、高温多湿、一家に一台の日本にはもっとも不向きな乗り物であることは変わっていないので。

 じゃあ、S660はダメなクルマなのかといえばそれも違うだろう。200万円もするんだから当然とはいえ、実によく作り込まれたミニ・スポーツだ。こんなクルマがホンダに1台あったっていいじゃないかという声があれば、それは理解できると。

 で、実は2シーターのオープンという点では、話題の新型マツダ・ロードスターも同じだ。けれども、それを承知のマツダは、世界3拠点同時発表という方法を選び、もとよりオープン市場のある欧米を含めた販売展開を計画している。

 一方でS660にはそういう展開が少なくともいまの時点では見えないんである。日本限定の軽規格に止まり、一方でコペンとは違って面倒なキャンバスのルーフを残した。どちらもこだわりなのはわかるけど、じゃあそれは一体誰のためのこだわりなんだろう?

 何やらスッキリしないのは、開発陣の熱い仕事ぶりは十分理解できつつも、その想いとプロダクトが、実はどこを向いているのかが見えにくいからなのかもしれない。

(15/04/04 すぎもとたかよし)

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