クルマ選びは
  新車データベース
マイカー採点簿
試乗記検索エンジン
国産車サマリー
カーライフ情報は
  厳選クルマリンク
車何でもランキング
車何でもアンケート
自動車保険
業界情報は
  ニュース&トピックス
コラム&レビュー
メールマガジン
  週刊くるまーと
モバイル対応
  運転免許問題集
ガソリン価格調査
車物知りクイズ
いつでも、どこでも
  iくるまーと(携帯)
くるまーと情報
  ウェブマスターより
広報&報道記事
お問い合わせ
 

info@kurumart.jp


トップページへ戻る

 

コラム&レビュー

新車心象風景:スズキ・アルト

 
 新しいアルトのデザインが示したものは、かなり大きな意味があるんだろうと思っている。


 もちろん、新規のプラットホームによる走行性能の底上げや、グラム単位の努力で達成した600kg台の重量など、機能・性能面での躍進も見所だけど、僕としてはやっぱりパッケージングを含めたエクステリアのインパクトが大きい。

 でも、それは単にメガネがモチーフの顔がユニークだとか、何となくレトロチックな雰囲気が変わっているということじゃない。軽におけるデザインのアプローチが従来になくまったく新しいことと、その次元があまりに高いところにあることなんである。

 ワゴンRやハスラー、他社ではホンダのNシリーズ、ダイハツのムーヴやタント、日産デイズなど、いまや軽は実にバラエティに富んだ展開を進めて好評を得ている。近日発表のホンダS660もまたその幅を広げそうだし。

 ただ、誤解を恐れずに言えば、そのどれもがそれなりに「想定内」の商品になっている。S660だってNスラッシュだって、面白い発想なんだけれど「まあ、だいたいそんな感じか」という想像、もしくは理解の範囲内ということで。

 けれども、アルトのそれは完全に想定外、想定以上なんである。このプロポーション、面構成、ライン取り、ドアなどのパーツの組み合わせ方等々。初代をモチーフにしたと言いつつ、軽規格という縛りの中では前例のない、まったく新しい佇まいを実現している。

 たとえば、どこか初代ゴルフを感じるとか、いや初代のパンダに似ているとか、そういう時代や生産国籍を越えた傑作をイメージさせるデザインの「技」がここには入っている。


 
 肝心なのは、これがひとりの外部デザイナーによって行われた(とされる)ことだろう。日産からアウディに移り、A5といった主要車種を手がけた和田智氏が帰国して独立したのは知っていたけれど、一部報道のとおり、仮に氏が基本デザインを手がけたとなれば、その意味は実に大きいと。

 つまり、数え切れないほどのニューカマーが日々発表される軽自動車の中で、たったひとりのデザイナーの、たった一度の提案がこれほどの画期的な商品を生み出すという事実は、じゃあ自動車デザインって一体何なんだという、実に根本的な課題を突きつけたんじゃないかと。

 スズキは、たとえばファミリーフェイスなどは作らず、おもちゃ箱をひっくり返したかのようにバラエティに富んだ商品を打ち出すことが特徴だという。だから、新しいアルトにしても、その中のひとつの提案と考えているのかもしれない。

 僕も、決してラインナップ全部をアルトのイメージに合わせる必要はないと思う。ただし、アルトを出してしまった以上、どんな方向であれ、デザインのクオリティに関してはここでじっくり考えるべきだとは思う。

 それは、ちょっとカッコいいとか変わっているとか、そういう次元じゃあない。ワゴンRであれ、ラパンであれ、スペーシアであれ、ユーザーの想定を遙かに凌ぐ、それぞれが革新性を持ったデザイン力の追求である。

 いや、たとえば開催中のジュネーブショウ出品のiM-4もまた和田氏が絡んでいるとしたら、やっぱりデザインの可能性を真剣に考える必要があると思うわけである。



(15/03/06 すぎもとたかよし)

日本の自動車評論を斬る!
すぎもとたかよしのブログ
」へ

本サイトへのリンクはフリーですが、画像・文章を転載する際は事前にお知らせください。
(c)2015 MICle Corp. all rights reserved.