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どうしちゃったの、コレ? 東京モーターショウで新型ウイングロードを見たときの心の中の第一声だ。いや、たしかに雑誌のスクープなどでは結構前からそのものズバリの姿がスッパ抜かれていたけれど、実際に現車をみちゃうとやっぱりねェ。
■直球勝負! 先代の異例なヒットは、ビッグマイナーチェンジで内外装の雰囲気をガラリと変えたため。しかも、それが直球ド真ん中というか、まさに絵に描いたような「カッコ良さ」を得たからだろう。何て言うか、子供が描いたロケットみたいな「カッチョイイ!」の世界。中居君とか吾郎ちゃんじゃなくて、やっぱり結局キムタクだよね、みたいな。「そんなガキみたいな・・・」なんていう真っ当な意見をも吹き飛ばすコテコテの「カッコ良さ」。 ところがどうだい。新型と来たらまるで正反対じゃないか。。
■意味不明なディテール 指で口を横に広げたような間の抜けたフロントフェイス。なぜそうなるのかサッパリ分からない弓形と直線を組み合わせたルーフライン。その辺に余っていた部品をくっ付けたような、何の工夫もない形のリアランプ。先代は、とにかくエッジを利かせたシャープなラインで全体をまとめようという意図が明確だったけれど、新型はあちらこちらの部分にこそ色々な要素があるものの、さてそれが1台のクルマとして何を示したいのかが、それがどうにも把握できないんである。
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■同じデザイナー?
たとえば、この特徴的なルーフラインはベルトーネ作のフィアットの新しいパンダがよく知られているけれど、実は北米で販売される自前のパスファインダーや、その派生車であるインフィニティQ56とも同じ処理だから、もしかしたら同じスタジオが絡んでいるのかもしれない。けれども、パスファインダーは長大なボディに変化を持たせるため、また、パンダは小さなボディに個性を与えるためであることが容易に理解できるのに比べ、どうしてウイングロードにこの処理が必要だったのかが分からないんである。かてて加えて、この曲線と直線の組み合わせが実に中途半端な具合で、結局サイドビューがゴチャゴチャしているだけになってしまっている。
日産復活のキッカケは、ゴーン氏の大リストラ政策だけでなく、やはり大きなデザイン改革だったのは紛れもない事実。実際マーチやキューブ、ティアナやエルグランド、フーガなどは、他の国産車と一線を画した個性的で美しいスタイルで世に出てきたではないか。それがどうして突如こういうことになっちゃうのか?
救いは先代のイメージを上手く引き継いだインテリアデザインと、同じく道具としての機能性がよく考えられていること。そして、比較的廉価な価格設定。けれども、それをもってこの新型が成功するのかどうか・・・?
まあ、僕は同じ日産であるノートの思いつきのようなエクステリアに異を唱えたけれど、実際はスマッシュヒットになったという事実もあるから、もしかしてこのウイングロードもまたそうなるかもしれないのだけど。
(05/11/27 すぎもとたかよし)
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