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コラム&レビュー

クルマのまわりで:旧車イベントに出かける

 
 3日の日曜日、雑誌『ハチマルヒーロー』が主催するイベント「ハチマル・ミーティング」に行ってきました。


 これはその名のとおり、80年代のネオ・ヒストリックカーをテーマにした旧車イベントで、今回は会場の富士スピードウェイに約500台が集結したそうです。まあ、何しろ自分自身がハチマルのオーナーですから、一度足を運んでみたいと思っていました。

 この頃の国産車の場合、一般に走り方向にモディファイされることが多く、会場もハチロクや“鉄火面”のスカイラインをはじめ、なかなか凝った改造ぶりが目立ちました。ただ、スポーティカーであっても、基本的にノーマルに近い方向でまとめるクルマが増えている印象も持ちました。

 そのフルノーマル派の自分として、今回の会場で目を引いた数台の写真を紹介します。また、そのうち2台は運よくオーナーさんに話を聞くことができましたので、それもレポートしたいと思います。

 まずは2代目のトヨタ・カムリ。「オーナーになったのは、新車で買った父親からたまたま引き継いだからなんです」という、東京の武田さんにお話を伺いました。


 86年式のボディは年数相応の部分もありますが、それは普段の足としてすでに44万キロを越えている証拠です。驚くべきは路上で止まるようなトラブルは一度もなかったこと。「オルタネーターなど部品の交換はありますが、基本的に大きな故障はありません。バブルに差し掛かり、作りにもお金が掛かっていたんじゃないでしょうか?」

 2代目カムリは、トヨタの本格的なFFサルーンとして居住性を追求した実用車として登場しました。「正直最初はカッコ悪いと思っていましたが、後席の広さや視界の広さなど非常によくできていますし、いまではスタイルのよさもわかってきました。結局、これまで他に乗りたいと思ったクルマはなかったですね」

 ノーマルに徹しているのは、武田さんが所属する「カローラ店80's」というサークルの方針。なるほど、当日はカローラFXやセリカなど、トヨタのきれいなノーマル車が近くに展示されていました。

 2台目は初代ホンダ・トゥデイ。ピカピカの赤いボディはちょっと違和感を持つくらいですが、オーナーの下村さんによれば、なるほどレストア直後とのこと。


 「出身の北海道で足として3万円で購入たものですが、上京してこれからも乗ろうとレストアしました」。都内にあるトゥデイ専門のショップで塗装したボディはもちろん、素材色のバンパーも新車なみ。また、オリジナルを自分で磨いたという内装も程度がいいものです。

 すでに14万キロを越えたものの、これまた大きな故障はないそう。「それより錆がもうあちこち出てしまって大変でした。レストアもそれがメインでしたから」。たしかに、80年代前半くらいまでのホンダはボディの弱さ、脆さが有名でしたっけ。

 で、やっぱり見事なノーマル姿です。「北海道の時はシートをレカロにしたりと手を入れていたのですが、機関の細かい不具合を直している中でノーマルに近づいていました。そのうちノーマル自体が珍しくなってきたので、じゃあこのまま行こうと」。自慢は購入動機だったスタイルのよさもありますが、初代トゥデイをこうしてきれいに乗っていることの希少性自体がいちばんだそうです。


 
 さて、残りは写真のみの紹介。3台目はありえないほどキレイな日産のトラッドサニー。内装もほぼパーフェクトですし、ホイールキャップにも傷ひとつありません。やはり周囲に同型サニーが並んでいたので、仲間同士での展示だったのでしょうか。


 このトラッドはヒット作でしたが、当時の日産の混迷を象徴した1台でもあります。先進的な曲面ボディが世間に受け入れられず、いわば先祖帰りで直線ボディに戻るということを繰り返していました。

 そういう意味では後ろ向きなクルマでしたが、改めていま見ると作りの丁寧さが伺え、最新の安普請なラティオなんかとは比べものにならないのが面白いところです。

 4台目はダイハツ・アプローズ。発売直後の出火事故でほぼ市場から抹殺された不幸なクルマであり、こうして状態のいい車体はほとんど見ることがありません。展示車内には当時のカタログが飾られ、相当な思い入れ度が伺えました。


 小さくてもクオリティを高くというコンセプトは当時珍しい発想でしたが、角にRが積極的に取り入れられ過剰な装飾を廃したボディは、どこか日本車離れしています。セダンに見えて、実は5ドア風に開くハッチは相当画期的で、性格としてはやはり欧州風の合理性を感じさせるところ。

 また、クオリティの高さはボディだけでなく内装にも感じられます。質感の高いファブリックのシートもそうですが、ピアノキー風にまとめられたインパネのスイッチ類もなかなかチャレンジングです。

 最後は三菱の初代シャリオ。ボディの状態は年数相応のものでしたが、普段使いの中での大切な扱いが感じられます。車内には「初代シャリオ保存会」の名詞と、数台の同車が取り上げられた雑誌が飾られてありましたので、その筋?では有名な車体なのかもしれません。


 このシャリオは質感云々というより、シャープなラインが80年代の元気のよさを感じさせるクルマです。合理的なパッケージングや広いグラスエリアなどは、どことなくイタリアあたりのカロッツェリアの仕事を感じさせます。フェンダーミラーの影響が大きいですが、これをドアミラーに置き換えて想像すると、その先進感がグッと上がります。

 さて、500台のエントリーがアッという間に締め切られたという人気イベントぶりですが、一方でショップなどに聞くと市場的にはなかなか不安定で、商売としては見た目ほど甘くないようです。各種のモディファイ、あるいはノーマルなど、ユーザーの志向がマチマチなのが理由のひとつなのかもしれません。

 ただ、ハチマルが人気なのは、いまの日常使いにも十分適応する走行性能や快適性能を持っているからであるのは間違いないでしょう。そこに当時ならではの豊かな個性が加われば当然魅力もアップすると。

 そうであれば、メーカーも自社の歴史を作ったクルマとして、もう少しこの市場に興味を示してもいいような気もします。安全性能などを考えればあくまでも中古車販売の一環としてになるでしょうが、メーカーによるレストア車の販売などはひとつの市場になると思えます。

 もちろん、メーカーの広報戦略にも使えると思うのですが、いかがでしょう?

(13/11/06 すぎもとたかよし)

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