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コラム&レビュー

クルマのまわりで:ニュースな撤退

 
 先日、TVのニュースでスバルの軽自動車撤退が大きく報じられていた。


 クルマファンなら周知の事実だけど、全国ネットの横並びな同時報道があると、ああ、そういう大変なことになっていたんだ、それは残念だ、なんて日本中のトピックになるところが面白いなあと思う。

 これって、最近評判のよろしくない「記者クラブ」による画一的なソースなのか、どこもかしこもプレスリリースそのままに、スバル360を持ち出して解説しているあたりがまた面白いところだったりする。

 さらに、ニュースソースのひとつとして、一斉報道が終われば翌日からはもうなかったことのよう・・・なのも、いまっぽい。まあ、iPadもいまそんな感じだけど。

 で、市場全体としては新車販売の3割以上といっても、開発費のわりに利益が小さいとされる軽を作り続けることは、たしかにスバルにとって難儀だったんだろうと思う。もちろん、Rシリーズが不振に終わったという大きな原因があったにせよ、このところの異様な燃費競争的商品展開について行けたとも思えないし。

 スバルが大切な資本を上級車種に集中するという展開は、北米や中国市場の一部を考えれば納得するところだ。けれども、一方で日欧やその他新興国を考えると、オリジナルのコンパクトカーを商品に持たないのはやっぱり不利なんじゃないかとも思う。


 
 もちろん、トヨタからラクティスをもらったのは、単に経営効果だけの話じゃなく、新しいインプレッサでようやく本格的にCVTの搭載が始まるなんて、いますぐ市場のニーズに対応できるコンパクトを作れる状況にないこともあるんだろうし。

 だから、仮にオリジナルを目指すとしても、実際には今後上級車で展開しようという水平対向HVやディーゼルを活用するなど、いまどきのコンパクトカーらしい低燃費技術も投入できるタイミングが現実的じゃないかと思う。当然、既存車のプラットホームを最大限活用するなどして。

 軽のように、2大メーカーをはじめとしたライバルで占められている市場はいけないとしても、そうして海外のコンパクトカー市場に目を移せば、独自の高い技術力で認知されているスバルには、それなりの資本を投下しても十分採算がとれるニーズがあるんじゃないかなと。

 つまり、いま、必ずしもインプレッサより大きなクルマしかスバルらしい商品になり得ないかというと、決してそうとは言い切れない。ポロやダウンサイシングするプジョー208などのように、しっかり作り込んだコンパクトは、消耗戦に陥りそうな安物コンパクトとはまた違ったところで勝負できると思うんである。

 もちろん、すでに外圧のかかっている軽の規格がいよいよ大幅変更、なんてことになった場合にも、すぐに対応できる準備をしておくという意味も含めてだけど。

(12/03/09 すぎもとたかよし)

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