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ああ、ごく当たり前の話を当たり前に書いているなあと思ったんである。
ピーター・ライオン氏が、H誌上で日本のクルマ事情に対する海外メディアの声を紹介するページ。昨年末の東京モーターショーを扱ったいま売りの記事だ。
たとえば、ひとつは件のハチロク。海外有力誌やジャーナリストの評判はかなりいいみたいなんだけど、その理由は「スバル(STI)が作ったから」というあたり。
まあ、企画やデザインはトヨタなんだけど、エンジニアリングはスバル主導だし、そもそも目玉だって水平対向エンジンだ。これまでレガシィやインプレッサなどの独自かつ良質なクルマ作りで信頼を得てきたスバルだから期待できると彼らは言う。
そんなことは国内の方がよっぽど詳しいわけだけど、しかしどこもかしこもメディアは「トヨタのハチロク」で、スバル名での露出度はかなり低い。せいぜいが「ハチロクとBRZを比較する!」みたいな感じだ。
なんて言うか、そういう妙な辺境のお約束的バイアスが掛かっていない、当たり前の感想が実に心地いいんである。
また、同じくトヨタの「ドラえもんブース」についても。ドラえもんそれ自体が海外では?なのに、その実寸キャラクター人形なんてもっと?だろうし、ピンクのドアに至ってはもう思考不能という声だ。
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もう日本人の僕にとっても相当恥ずかしい演出だったけれど、それを雑誌メディアで指摘する声は意外に少ない。まあ、何となく言いたいことは分かるよなあと思ったとしても、これは国際ショーであるという視点で書かなくちゃダメだろう。
一方、国内でえらく称えられている若き社長の「ガソリンのにおいが好き」の演説もまた、現場では海外ジャーナリストの失笑を買っていたんだけれどね。
さらにホンダについて、出展車両はともかく、ブースが必要以上に暗かったという指摘。
これは僕も取材時に感じていたことで、読者の方も同じ感想を持たれた方は多いんじゃないかな? ステージ上の白いコンセプトカーを目立たせたいという理由があったとしても、ブース内の雰囲気を悪くするようではイケナイ。まあ、先のドラえもんとはまた別次元だけど、見せ方ということでは同じ話だ。
そうやって、妙にマニアックになることもなく、逆に必要以上にドライな傍観者になることもない。経験ある評論家やジャーナリスト、あるいは記者として、見聞きしたことからごく当たり前の意見や感想を発信し、書く。
そのこと自体が文字通り「当たり前」なんだけど、こうして海外メディアの声を聞くと、改めて日本のメディア記事の偏り具合が浮き彫りになってくるから面白い。
TPP絡みで、ついに外国から軽自動車規格にイチャモンがついたけれど、もしかしてメディアも外圧がないと正常化しないってことなのかな?
(12/01/25 すぎもとたかよし)
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