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最近クルマ雑誌を読んだ方なら、スカイアクティブ版デミオの、メディア対抗燃費競争の記事を目にしたんじゃないかと思う。
メーカーであるマツダが各雑誌編集を招待し、東京〜仙台間での省燃費競争を行うというものなんだけど、これが何ともおもしろくて。
なんて書くとだいたい想像がつくかと思うんだけど、編集長から「トップを取って来い!」と言われたか否か、この盛夏に多くののメディア(とりわけB5判)が当然のようにエアコンオフで、かつ時速70〜80キロなんていう「らしくない」低速運転で望んだらしいんである。
まあ、御用記事ここに極まるって感じだ。真夏にエアコンを切り、しかも流れからおいて行かれる速度はどんなにか辛かったろうと思うけれど、そこまでやって叩き出した燃費自体に何の意味もないのは、実に悲しいというか残念じゃないか。
だって、そんな数字はユーザーと無縁であるばかりか、逆に間違った印象すら与えてしまう代物だ。その特別な印象をマツダが期待してたとしても、メディアが一致協力してそれを叶える姿が何ともねえ。
もちろん、どんなに汗ダクで頑張っても、無意味な数字による1番、2番には同じように意味がない。優勝したH誌はエアコンどころか、空気抵抗を考え内気循環にし、ラジオすら切っていたっていうから泣けてくるけれど。
それにしても、そういう残念な競争の一部始終を、まんま活字にするその勇気はすごいと思う。しかも、ほとんど同じ記事が数誌で同時に掲載されているんだから、これは実におもしろいと言えるでしょ。
そりゃあお前、メーカーがわざわざセッティングしてくれたイベントなんだから当然だろ、という意見もあるかと思う。けれども、実は“群を抜いて”成績の悪かったメディアが1誌あって、ここは当たり前のこととしてエアコンを使い、走りもほぼ通常とおりに行ったそうだ。その結果、2番手チームより常に1時間近く先行したっていうから驚きだ。
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こういうA誌のようなメディアがある以上、僕らユーザーが「仕方ないじゃん」なんて言葉を口にするのは止めるべきだと思う。甘い10・15モードで30キロのクルマが実走行ではどうなんだという、本来あるべき情報を与えてくれる状況は僕らが積極的にすくい上げなくちゃいけない。
もし、すべてのメディアが同様に現実的な状況で競争に臨んだとしたら、そこでのわずかな数値の違いは意味を持った筈でしょ。だって、その違いそのものがいわゆる「エコラン」の現実的な技術なんだろうし、そもそもスカイアクティブ・デミオの大方の燃費性能がハッキリする。どれもユーザーにはありがたいことばかりだもの。
けれども、実際には大半の雑誌がいちばん短絡的な思考に走って、まるで子供の運動会か修学旅行的なノリで汗ダクになるという冗談みたいな展開だ。
ほら、最近制作費不足に悩むTV局が、コンビニやらファミレスとのあからさまなコラボ番組を連発しているけれど、言ってみれば、あの手の番組に芸人じゃなくて評論家がズラッと出演しているような異常さ、かな。
こんな異常な条件でドライブしてもなお、10・15モードを達成したのはわずか1誌という事実を見れば、メディアとして突っ込むところはいっぱいあるのにね。
そうそう、水分をガブ飲みし、涼感グッズを体に貼るような高温車内での運転って、それ自体がとても危険な行為でもあるよね。下手をすれば熱中症もあり得るし。それをメディアが自らやっちゃう問題もあるかな。
ただでさえも出版不況なのに、こうやってますます雑誌としての独自性と情報能力を失ってゆく。いやあ、汗ダクになるのはもっと別の方向じゃないのかなあ、と思うんだけど。
(11/09/09 すぎもとたかよし)
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