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民主党が、そもそもの原点に立ち返って高速料金を下げますよ、という意味では「無料化」に賛成なんだけど、じゃあ実際にタダ、というのはちょっとなあと思う。
もちろん、まずは普及が進んじゃったETCをどーするのよ、というのもある。こいつはドライバーが直接買った車載器だけじゃなく、ほぼすべてのICに莫大な金を注ぎ込んで設けられたゲートもそう。せっかく作ったのに無駄になるじゃないか、と文句を言いたいというより、これをそのまま放置するのはあんまり賢いとは言えないって感じかな。スマートICもね。
それと渋滞ね。民主党は交通量の少ない地方路線から近々に無料化、主要路線は社会実験を実施して段階的な値下げを試みると(都市交通は別)。たしかに地方では結構ガラガラな路線はあるけど、それでもタダはイカンなあと僕は思う。
なぜって、消費者(ここではドライバー)にとって0円、タダっていうのは特別な状況なんである。タダと1000円、いやタダと100円でも天と地ほど違うと・・・。
いまマクドナルドが1日に1時間だけコーヒーを無料にして行列を作ってるけど、あれがいい例だよね。もともとが100円だから、じゃあ半分の50円にしたら同じ行列ができるかといったら多分できないと僕は思う。いや、25円でも同じかな。ところが、これがタダってことになると並んででも“獲りに行く”んである。もう、並ばなきゃ損ってことになっちゃう。消費者心理ってそういうもんじゃないのかなと。
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だから、地方路線でもタダは止めた方がいいと思う。大渋滞にならなくても、相当の交通量増大でペースダウンは十分あり得るんじゃないかな。とくに地方は対面通行も多いし。もちろん主要路線は論外だけど。
要はね、いまが高過ぎるワケでしょ。たとえば東京〜福岡って何と22,000円。これ、新幹線とほぼ同じだけど、クルマはさらにガソリンも必要だし、そもそも自分で運転しなくちゃいけいない。こりゃ、いくら何でも高いだろうと。
じゃどうすればいいのかって言えば、ここは難しく考えず、大半のドライバーが“負担に感じない”料金に大幅値下げをすればいいんじゃないの? たとえば地方路線なら100km当たり200円、都市近郊または主要路線はその倍で400円。区切り方にもよるけど、ザックリ福岡〜鹿児島で800円前後。東京〜京都で2000円、福岡まででも4000円程度。これだって交通量は増えるだろうけど、タダよりは相当抑制できるでしょ?
財源はどうやら埋蔵金云々なんて話だけど、そもそも暫定税率を撤廃したって本税分は入るんだからね。しかもその特定財源は湯水のように天下り財団だの本四公団債務返済に使われてきたんだし、使い切れなくて街づくりナンたらなんてワケの分からない事業に使ってたんだから「ない」筈がない。通行料収入もなくなるわけじゃない。
ま、そうするとETCも無駄にはならないわけだけど、忘れちゃイケナイのがORSE。ETCの運用なんてとっくに電算化が完了してるんだから、国土交通省が引き取るか、何なら高速道路会社に任せちゃってもいいでしょ。どっちにしてもこんなフザけた天下り団体はこの際解散してもらわなくちゃ、それこそ無駄遣いだもの。
(09/09/01 すぎもとたかよし)
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